グッバイガールのレビュー・感想・評価
全8件を表示
“子はかすがい”ならぬ“子供はかずかい”的な惹かれ合いだったが…
「マグノリアの花たち」に
ハーバート・ロスの上手さを感じ、
12年前の同じ年に、キネマ旬報ベストテンで
第3位に選出されたこの作品と
第6位の「愛と喝采の日々」を
再鑑賞することにした。
特に、この「グッバイ…」については、
1978年のロードショー以来の
懐かしい再鑑賞に。
しかし、若い頃の記憶としては、
それなりに面白く観たように思うのだが、
今回は何故か作品の中に入り込めない鑑賞に
なってしまった。
脚本は劇作家のニール・サイモンで、
映画化作品として観たのは、
他に「おかしな二人」だけだが、
ジャック・レモンとウォルター・マッソーの
見事な掛け合い演技に感服した記憶がある。
一方この作品、全編に渡って、
“子はかすがい”ならぬ
“子供はかすがい”的な男女の惹かれ合いは
面白い設定だったが、
何故か作品の中に入り込めない鑑賞に
なってしまったのは、
この舞台劇的内容の映画化に際し、
映画化への“こなし”が上手く出来ていない
印象を受けたからだったのだろうか。
ポーラは単純に喜び過ぎ
リチャード・ドレイファスの絶頂期‼️
とにかくこの作品は70年代を代表するロマコメだと思う‼️それもスゴく都会派‼️ニューヨークに生きる人々の哀愁がセリフの一つ一つにセンス良く組み込まれている‼️話術の妙とでも言うべきでしょうか⁉️フランク・キャプラ監督の「或る夜の出来事」やビリー・ワイルダー監督の「アパートの鍵貸します」を思い起こさせるキャラクターたちのセリフの応酬‼️物語としては、男に逃げられてばかりいるポーラが、シカゴから来た売れない役者エリオットと結ばれるまでを、ポーラの10歳の娘ルーシーを絡めて描いている‼️夜中にエリオットがずぶ濡れでポーラのアパートを訪ねるシーン、エリオットが仕事仲間の女優をアパートに連れ込んでポーラが激怒するシーン、エリオットの新作「リチャード三世」をめぐる舞台裏の演出家とのイザコザ、屋上でのパーティ、エリオットが馬車でルーシーを迎えに行くシーン、ポーラがエリオットを映画の撮影へ送り出すシーンまで、素敵な名場面がいっぱい‼️中でも「リチャード三世」は、舌がもつれるわ、叫び出すわ、コブ付きで足を引きずるわ、体をくねらせるわ、舞台としては最悪だが、映画のコメディ・パートとしては最高に面白くできてる‼️やはり都会的なセンスあふれるニール・サイモンの脚本が一番‼️ポーラのマーシャ・メイスン、エリオットのリチャード・ドレイファス、特にとんがった演技で観る者を魅了するルーシーのクイン・カミングスの存在感も素晴らしい‼️そしてそれらをまとめ上げたハーバート・ロス監督の演出‼️「アカデミー賞を獲ってね」とエリオットを送り出すポーラ‼️そして実際にドレイファスがアカデミー主演男優賞を獲るんだからホント、映画のマジックって素晴らしい‼️
ニール・サイモンの脚本が生かされた、オフ・ブロードウェイの楽しいコメディ映画
久し振りに楽しいアメリカ映画を満喫した。軽快明瞭なるお話の展開と、登場人物のユニークな個性が、単純ではあるが明るく健康的に描かれていて実に好感が持てる。これは、主演のリチャード・ドレイファスとマーシャ・メイスンの役柄を考えて脚本を仕上げたニール・サイモンの手腕が大きい。また、「愛と喝采の日々」で堅実な展開を見せたハーバート・ロス監督のリラックスした演出タッチもいい。その為に、ドレイファスの演技は、真面目ながらツキが無い俳優エリオットの哀切たる心情を笑いで吹き飛ばす。これは、彼にとって最良の演技になるであろう。マーシャ・メイスンも、愛人に結局は棄てられる不運な女性ポーラを深刻ぶらず、あっさり演じ切っている。彼女の最高作「シンデレラ・リバティー」の酒場の女のリアリティーには及ばないものの、技量に裏打ちされた安定の演技力を見せてくれる。そこに娘ルーシーの存在が異色で、アメリカ社会における子供の在り方が加えられ、単に大人の男と女の関係で終わらないドラマになっているのが良かった。それが上手く描かれている場面が、二人の大人の関係を知って気がふさぐルーシーを学校まで迎えに行くシーン。唐突ながらクラシックな馬車に乗せるアイデアが面白い。このサプライズによりエリオットが家族の一員に認められる切っ掛けになる。個人主義のアメリカ社会にみる、ひとりの人間として子供も扱うところが良く表現されていると思う。
お話は、舞台劇にもなるストーリーと展開。エリオットとポーラが最初に出会うところと、二人が結ばれるところ、そして再び愛を確かめ合うところで、丁度雷が鳴って雨が降る。音と情景の変化を二人の心理と対比させる演劇的な演出が施されていた。
それにしても、ドレイファスがゲイのリチャード3世を演じるオフ・ブロードウェイの舞台裏はケッサクだった。偏執的でマザコンの演出家の解釈が笑わせる。続くエリオットがポーラの前で映画出演を断る芝居のリアクションがまた巧い。脚本家と演出家と俳優が噛み合った名人芸である。
兎に角楽しい映画だった。劇中でエリオットはポーラに、どうせ映画に出るんだったらアカデミー賞を取ってねとエールを送られるが、そう言われてドレイファスがこの作品で本当に受賞したのは、これが初めてかも知れない。上手く決着が付いたハッピーエンドのロマンティックコメディのアメリカ映画。
1978年 11月23日 丸の内ピカデリー
スノッブの世界
良質映画
うーん
全8件を表示