「【”潜在意識の怪物”今作は、円谷プロもビックリの、1956年公開のハイクオリティスペースSFムービーである。宇宙を舞台にしながら、人間の業をベースにした作品構造も可なり深い作品である。】」禁断の惑星 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”潜在意識の怪物”今作は、円谷プロもビックリの、1956年公開のハイクオリティスペースSFムービーである。宇宙を舞台にしながら、人間の業をベースにした作品構造も可なり深い作品である。】
■西暦2200年。
人類が地球外の惑星へ移住を開始した時代。
怪電波を受信したアダムス機長の宇宙船は、20年前に消息を絶ったベララホン号が着陸した惑星・アルテア4へ降り立とうとするが、生き残りというモービアス博士から”着陸するな、命に危険が及ぶ。”と警告を受けるも、アダムス機長は着陸を決行する。
するとモービアス博士とその娘アルタがロボット、ロビーと共に精密な設計による施設の中で生きていた。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・まずは、数々のSFガジェットの精巧さや、宇宙船内部の構造の精緻さに驚く。円谷プロのウルトラマンが1966年にTV放映されて、絶大な支持を集めたそうであるが、今作はナントその10年前の公開である。
・光線中のビームなど、円谷プロはスペシューム光線造形の際に参考にしたのではないかな、と思った程である。
ロボット、ロビーの造形や、アイザック・アシモフのロボット三原則をキチンと守らせつつ、食料や酒を拡大再生産する構造なども非情に秀逸である。
・更には、物語構成も予想の遥か上を行くもので、秀逸である。惑星の絶滅した先住民”クレル”の文明の高さを途中から挿入しつつ、彼らが絶滅した理由”潜在意識が作り出した怪物”に隠された意味。
・そして、”IQ増幅器”と言う、コレマタSFガジェットとしては魅力的な機器を使うシーンなどもチープさはない。
■モービアス博士が、潜在意識で憎悪する者に対し、見えない怪物を創り出していたという事実と、その怪物の描き方が、コレマタ秀逸なのである。吃驚だなあ。
<今作は、円谷プロもビックリの、1956年公開のハイクオリティスペースSFムービーなのである。宇宙を舞台にしながら、人間の業をベースにした作品構造も可なり深い作品でもある。>