「闇と小麦がもたらす光」吸血鬼(1932) Kyojiさんの映画レビュー(感想・評価)
闇と小麦がもたらす光
月光下で蘇る吸血鬼とその助手たちが暗躍する殺人事件をきっかけに平衡感覚を失い、魂も抜け出す幻影に取り憑かれる青年。彼の通過儀礼か悪夢なのか、語りの視点の曖昧さがもたらす効果が実験映画さながらです。
不穏な影の躍動に蹂躙される住民は夢想家の青年を通して、その影を漂白し、生命の輝きを白日の元で享受することが白黒の明暗で分かり易いくらいに伝わってきます。
半サイレント半トーキーのような映画で、全体を通して控えめな伴奏曲がありますが、音や声がとても効果的に相乗効果を生んでいて、むしろ新鮮です。
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