「WillkommenとAug wiedersehenの間の世界」キャバレー(1971) デンスケさんの映画レビュー(感想・評価)
WillkommenとAug wiedersehenの間の世界
冒頭のMCが歌うドイツ語、英語、フランス語などが混じった歌からベルリンで出会った恋人達の物語が始まり、ここから登場人物のセリフは英語で進み、最後はライザ・ミネリの熱唱の後にMCのAuf wiedersehen(ドイツ語でさよならの意味)の呼びかけとナチ党員が占める客席の不穏な映像で暗い現実に戻る事で終わる。この映画の作法、様式には感動した。夢を追うサリーたちも、迫るナチの迫害に抗って結婚するフリッツ達も過酷な現実の歴史に飲み込まれる泡沫であることを暗示する。それでも人間は生きるという強いメッセージをこの50年前の映画は訴えているが、今でもウクライナでロシアで中国で、同様な悲劇が繰り返されていることを想起させて暗澹とする。
これまでライザ・ミネリの歌があまりに有名なので楽しいミュージカル映画と思い込んで観なかったが、今回午前十時の映画祭で初めて観たが素晴らしい映画体験だった。初公開した時に10代の自分は恐らく理解出来なかっただろう。歳とってから名画を観るのもいいものかも(笑)
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