劇場公開日 1977年12月17日

「宮崎駿映画と同じ演出手法だったかも知れないが…」ガントレット KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0宮崎駿映画と同じ演出手法だったかも知れないが…

2023年11月30日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

予告編での、バスが蜂の巣になるシーンが
単なる客寄せ的な映画、との印象があって
これまで観ることはなかったが、
最近幾つかのイーストウッド作品を観ていた
こともあり、その延長でこの作品も鑑賞。
結果、予想通りでもあり、
一方では予想を遙かに超える
銃等の暴力だらけの展開には驚かされた。
・いきなりの手配車の爆破
・ヒロインの家が蜂の巣になるシーン
・パトカーが蜂の巣になるシーン
・バイクを奪うため大勢の暴走族の中に
 単身で入っていくという無茶なシーン
・ヘリコプターの追撃をかわす中で
 その機が電線に触れて墜落するシーン
・そして、お約束のラストでの
 バスが蜂の巣になるシーン
等々の展開が続いたが、
まあこの決着をどう収めるつもりだろうとの
興味から最後まで鑑賞した。

しかし、イーストウッド監督はこれらの
銃撃戦等々の場面が先にありきの演出で、
警察委員長が己の不正を隠蔽するために
警察署員を使っての大銃撃等の
殺戮行為の連続で、
・どうしたら警察官全員が
 そんな命令に従うのか、
・どうしてトンネルに留まってヘリコプター
 からの攻撃をかわさないのか、
・どうしてタイヤを撃ってバスを
 止めないのか、
等々の疑問はどこ吹く風の、
更には、ラストの安易な解決方法も含めて
何と荒唐無稽な、と言わざるを得ない
暴力シーンだらけの作品だった。

各画像イメージが先にあって、
その後にストーリーを繋ぐ、
との作風としては
宮崎駿監督映画を思い浮かべるが、
宮崎映画にはその繋ぎ方に
無類の上手さがあって、
あのような名作を世に送り続けた。

俳優としては、
マカロニウエスタンや
「ダーティハリー」等の刑事物、
また「荒鷲の要塞」等の戦争映画で
魅了されたイーストウッドだが、
監督業としては、
その魅力的なレベルには達するのを
私が目撃するのは
15年後の監督作品「許されざる者」以降
だったような気がする。

KENZO一級建築士事務所