「二人のロードムービーを作ってみたかったのかな?」ガントレット parsifalさんの映画レビュー(感想・評価)
二人のロードムービーを作ってみたかったのかな?
当時、愛人のソンドラ・ロックとイーストウッドとが、警察に追い回されながら腐敗した上司を告発(復讐)するために、パトカーやバイク、貨物列車、バスに乗り換えて市庁舎を目指すロードムービー。「ゲッタウェイ」と「俺たちに明日はない」を足して2で割ったような映画。はみ出し者同士で、最初はいがみ合ってばかりいる二人だが、襲撃される度に仲が深まって、愛が生まれていく。娼婦役のマリー(ソンドラ・ロック)は、大卒で娼婦。彼よりも頭が回る設定。きっと二人で逃げるシーンも楽しかったのだろうなって思わされた。貨物列車なんかでは、ショックリーが貨車に繋ぎ止められるのだが、マリーが上着を脱いで自分の方に暴漢を引き寄せ襲われる。それやるなら、彼が繋がれる前だよねって。ソンドラ・ロックという愛人に対する扱いが、どの映画でも酷いです。イーストウッドは、女に対してサディステックな感情を持っているのかもしれません。或いは、そういう関係から始まって、更に女との関係は深まるというような。ただ、彼の映画なら普通は早々に手を出すのだが、最後まで手を出さない設定になっているのは、彼女に惚れていたからなのかな。
バスに8mmの鋼板を搭載して自分たちを守るようにして突破しようとするが、突っ込みどころが満載すぎる。乗っ取られたバスの運転手も乗客も逃げない、通報しない、道順を教える、何故タイヤを撃ったり、車両で前に進ませないようにしない等など。最後、裁判所の前で止まったバスから出てくる二人を誰も撃たないし。???の連続。銃撃シーンは、凄まじい銃弾の雨あられでこれでもかって程。そういう単純な志向の映画でした。挑戦的な映画なのだけれど、イーストウッドの作品としては、自分はちょっとね。
ただ、二人が警察に追われるロードムービーを撮りたかった、二人の愛の記念にってところでしょうか。