劇場公開日 1983年4月16日

「本当の主役は数十万人ものインドの人々のエキストラ達です」ガンジー あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0本当の主役は数十万人ものインドの人々のエキストラ達です

2019年4月25日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

3時間強有りますが長いとはあまり感じません
短いシークエンスが積み重なっていく製作方式ですので、集中力の糸が切れにくい構成となっています

写真や映像で見たことのある実際のガンジーの特に老人になってからの骨と皮だけの姿形、褐色の肌の色、身のこなし、話ぶりが、ベン・キングズレーが演じる本作のなかに、まるでそのままでてきたかのような再現ぶりです

しかし、本当の主役は彼ではありません
それは数十万人ものインドの人々のエキストラ達です
全て実際のインド国民で、決してCGのコピぺを繰り返して作ったまやかしの群衆ではありません
本当に彼の存在、彼の考え方、彼の生き方によって民族と国家の独立を勝ち取る事ができた人々なのです

彼らがガンジーを如何にマハトマ(偉大なる魂)として尊敬し、指導者として彼から勇気と高い理想を得たのか、それによって彼らが暴力によらずに平和裏に国家の独立という偉業を成したげたのかが、彼らエキストラ達の演技に込められているのが映像から伝わってきます

知っているようで知らなかったガンジーの偉大さは何か?
その物語の映画です

「非暴力、不服従、されど無抵抗主義に有らず」これこそは21世紀の現代にこそ必要とされていることではないでしょうか

ガンジーの教えはインドの問題にとどまらず、イスラム過激派、欧米での人種問題や移民問題、中国でのチベット、ウイグルの民族浄化などなど
今こそ求められている全人類の理想です

しかし21世紀に生きる我々は最早擦れ枯らしの人間に成り果ててしまいました

インドとパキスタンは先般も武力衝突となり、双方核恫喝の応酬にまで至ってようやく沈静化しています
カースト制は半世紀以上経っても変わらずのようです
スリランカではイスラム過激派による爆弾テロで何百人もの死者がでたとのニュースもつい先日ありました

私達は「非暴力、不服従、されど無抵抗主義にあらず」を逆に悪用してくる国や組織がある事を知っています

本作で描かれるアムリットサル事件の大虐殺を数倍も上回る規模で自国民を平然と殺戮をしてみせた国もあるのです

本作の中で軍法会議で追及された将軍とは違い、その国ではだれも処罰されてはいないのです
それどころか無かったことにされているのです
自国民がそれに抗議すれば投獄されるのです

そしてそのような国が今はそれから更に国力をつけ、自国の周囲どころか世界中に軍事的な影響力を及ぼそうという国になっているのです

そんな国ですから、もしそこにガンジーのような人間が現れてもあっという間に暗殺されてしまうでしょう

他にも核兵器とミサイルをつくり恫喝する隣国もあります

その国を同じ民族であるからと手助けしようとする国もあります
それが我が国の航空機に見つかりかけると射撃の構えまでして追い払ってみせた事件はつい最近のことです

そんな恐ろしい国を私達はいくつも隣国にもっているのです

殺されてはならない
しかし殺してもならない
戦わないための努力をしろ
本当のガンジーの教えはこうだと思います

戦争するくらいなら殺されようとビラを撒く団塊左翼老人達にだまされて、単なる無抵抗主義になっては取り返しのつかないとてつもない悲劇が起こるだけです
私達には家族があります
これから家族を作る人もあるでしょう
私達のこども達を殺されないようにする責任があります

戦争にならないようにパワーのバランスを保つ不断の努力をしろ
その上で武力をぶつけ合うことにならないためにギリギリまで自制する勇気を持て
自分にはそのように受け止められました

あき240