「「男の純情」と 配役の妙」華麗なるギャツビー(1974) jarinkochieさんの映画レビュー(感想・評価)
「男の純情」と 配役の妙
エキセントリックで愚かな、カマトトお嬢デイジーに引っ掻き回される 悲劇である
デイジーと その夫の愛人は 硬貨の表と裏の様で、
これらに苦い思いをさせられる ギャツビーと修理工場の男に同情
また、階級差による 雄の雌を巡る本能的な闘いの様でもあり、上位者(デイジーの夫)が 下位者二人に勝利している
珍しく「男の純情」を美しく 謳いあげた映画である 原作の方が「アメリカンドリームの本質(その、いかがわしさ)」を突いているのだが…
ネルソン・リドルの音楽も 哀愁があり、若いアメリカに想いを 馳せる
ファニーフェイスのデイジー(ファーロー)が 化粧や
衣装や出自で「美人」になり、同系統の愛人
(カレン・ブラック)が 貧乏から「異質」な感じがするのも、皮肉である
綺麗にラッピングされた女 と むき出しの女…
アッパーカットをくらい、鼻血を出す ブラック!
ラッピング女は 殴られないし、彼女の通り過ぎた後は 死体の山である
浮世離れも徹底されると、ある意味 凄い
そして 周囲(上位者)も 被害者(下位者三名)のことは 無かったことに…
これも 階級差とラッピング効果だろうか…
新大陸アメリカに「階級」の構築って、
何がしたい!?… という、話でもある
私は ファーロー、ブラックという 曲者女優が 一つの映画で 正妻と愛人という形で共演していることに、めまいがする
彼女達と 互角に戦っている(笑)デイジーの夫トム役の ブルース・ダーンは凄いのではないか、と だんだん思い始めた
又、泣かされる男達が レッドフォード、スコット・ウィルソンなのも 味わい深い(笑)
配役の妙、である
「恋」って 不思議!
若いアメリカの 価値観の混乱の、その中で 男達の 女に対する「考察」が あんまり出来てなかった時代の話ではある
原作は 無駄な言葉がなく、最も詩的な散文の ひとつ(らしい)
自信のある方、勉強中の方は是非 チャレンジしてみては?