劇場公開日 2023年12月22日

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「思い出す『ブラザー・サン・シスター・ムーン』」神の道化師、フランチェスコ La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)

思い出す『ブラザー・サン・シスター・ムーン』

2024年9月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 13世紀のイタリアで、清貧の生活の中で与え続ける信仰と布教を貫いたアッシジのフランチェスコをロベルト・ロッセリーニ監督が描いた物語です。『無防備都市』で戦争の虚無をクールに描いたロッセリーニの作風を想像していたらフランチェスコの信仰を正面から素直に捉えた物語でした。どこかで展開が変調するのかと思ったらそのまま描き切りました。でも、「神の奇蹟」の様な物を情熱的に描くのではなく、ひたすら与え続ける修道士の日常を淡々と描いたと言う点では、まさしくネオリアリスモに相応しい作品なのかも知れません。その淡々故に信仰に襲いかかる暴力が冷え冷えと際立ちました。

 そして、アッシジのフランチェスコと聞くと僕の世代だと『ブラザー・サン・シスター・ムーン』(1972) をあのテーマ曲と共に思い出してしまうのでした。この機会に、またスクリーンで観たいなぁ。

La Strada