カミーラ あなたといた夏のレビュー・感想・評価
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相照らすような芸術家同士の素敵な関係
<映画のことば>
「舞台でアガったりしません?」
「私はステージの女王。お客はカボチャよ。」
本当は、ブラームスの演奏会を聴きに行くための旅行でしたが。
しかし、いつしか旅の目的は、老バイオリニストのカミーラ(ジェシカ・タンディ)のかつての恋人・バイオリン職人エウォルド(ヒューム・クローニン)を訪ねる旅に。
名演奏家ともて囃されたカミーラにも、ずっと秘してきた、思わぬ後悔があったのですね。
そのわだかまりがなければ、芸術家(バイオリン奏者)としても、もっともっと大成していたかも知れません。
カミーラ自信も必ずしも明確には意識はしていなかったのかも知れませんが、そのわだかまりを解きほぐしてくれたのが、フリーダだったのでしょう。彼女らの友情の根元は、本当は、その心のふれあいに胚胎していたといえそうです。
自分の息子・ハロルド(モーリー・チェイキン)をペテンにかけて、フリーダとの旅の資金を調達するカミーラ。
そういう、ちょっとした、コミカルな要素をはさみながらも。
結局は、エウォルドとの再会を果たしたカミーラに触発された若き作曲家フリーダ(ブリジット・フォンダ)も、いったんは冷めかけていた夫ヴィシス(エリアス・コティーズ)との豊かな愛情関係を回復する。
まあ、ハッピーエンドのラブロマンス的な要素も大きい作品なのですが。
でも、評論子には、それ以前に、カミーラとフリーダとの心の交流が素敵な作品でした。
老いても、かつて有能なバイオリニストとして鳴らしたカミーラの自信となお放たれる輝きとが、同じように芸術家であるフリーダに、カミーラと同じような自信と輝きとを与えたということでしょうか。
相照らすような芸術家同士の関係が、とても素敵な設定の作品だったと思いました。
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