「今となってはありふれた悲劇を,今では失われてしまった新興のひかりと...」カビリアの夜 しょうけらさんの映画レビュー(感想・評価)
今となってはありふれた悲劇を,今では失われてしまった新興のひかりと...
今となってはありふれた悲劇を,今では失われてしまった新興のひかりと影の間で描いている作品.悲劇ではあるが結局悲しくはない.カビリアは元の街に戻って口汚なくののしって暮らしていくだろうし,結局元の生活の中に特別な悲哀があるわけでもなかったのではないだろうか.信仰と周囲の人間からの目線の中で,結婚というものにハロー効果が発生していただけで現実のそれが,もともとの友人の多い暮らしと比べていいものであるわけでもないだろう.ただ単に今とは違う自分でありたいという欲望が結婚という社会制度に回収されただけであって,それが失われたからと言って特別悲しむことではないのだろうな.信仰の瞬間,催眠の瞬間の映像美は見事だった.
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