「ジャック・ニコルソンを印象付けた作品」カッコーの巣の上で kakerikoさんの映画レビュー(感想・評価)
ジャック・ニコルソンを印象付けた作品
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あまりに生々しく、切なくて観終わったあとも自分の中で違うラストを想定したくなってしまった。主人公マクマーフィーはアウトサイダーで精神病院にちょっとした嵐を吹き込む。それに対し、婦長のラチェッドはどこまでも規律に忠実に抑制の中で患者たちを管理することに努める。敵対する両者の描写が見応えある。
ジャックニコルソンは皆が絶賛するように気迫に満ちた素晴らしい演技。そして婦長さんは私の中では決して悪ではない。仕事に忠実で自らも己の感情を抑制し、使命を全うしようとしただけの人。だから、本当の顔はわからない。人が人を管理すること、病院の体制こそが権威をかざし人間の自由意思を奪いさるそのものだと思える。
彼とチーフの友情も見どころのひとつ。終盤、魂の死んでしまったマクマーフィーをチーフがやさしく抱きしめるシーンは切ない。彼のとった衝撃の行為。そしてチーフは飛び立った。彼の魂を引き継いで、いるべき場所ではないところから外の世界へと。
再び訪れた平穏な日常シーンの一こま。婦長の穏やかな顔つきと他の患者達の心持ちが前と変わったことがマクマーフィーの軌跡。テレビ前で架空の大リーグ観戦で盛り上ったときの喜々としたみんなの表情が鮮明に浮かぶ。
決して好きな部類ではなかったけれど、観なかったら後悔したと思う作品。
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