「ゆっくりの流れの中に名作はある」カッコーの巣の上で えーじさんの映画レビュー(感想・評価)
ゆっくりの流れの中に名作はある
当時のアメリカンニューシネマの代表作であると共に名作である。映画館では観ていない。未だ10代の頃テレビで観た記憶があった。それ以降少なくても1回は視聴しているがいつだったか思い出せない。今回は見直す為にレンタル店にてBDを借りて再度観た。名優のジャックニコルソンの代表作である。この作品により主演男優賞を受賞した。BDの特典映像を観て分かった事だがこの作品の元々の原作はカークダグラスが版権を買っていて舞台として演じていたらしい…。しかし余り人気は出ず数ヶ月でおわってしまった。そしてその息子のマイケルダグラスがその版権を元に映画化したようだ。
今回再度視聴して初めて気付いた点があった。それは吃音だったビリーが初体験をした後、吃音が治っていた事。これには驚いた!しかし婦長の厳しい叱責により又吃音になってしまうのです…そしてあの事件へと続く。なんとせつない事だろう…。。
人間の尊厳を問うた作品。当時のアメリカンニューシネマはお金を掛けずに良い映画を沢山出していた。その匂いはちょうど今の日本映画やフランス映画のような良質の香りがする。現在の米国映画はお金を掛け過ぎたステレオタイプの作品ばかり創っている。お金を掛けている為ヒットばかりを狙い派手に見せ掛けているだけである。そこは中身の無い作品ばかりである。そんな映画と違うアメリカンニューシネマを是非味わって欲しい。特に若い世代に観て頂きたい。現在の映画とは違い物語はゆっくり進む為、時として時間の経過が長く感じられるかも知れない…しかし現実もそんなに早くは進まないのだ。
この作品は僕も非常に印象深い1本です。
主人公が脱走するために給水器か何かを持ち上げようとするがピクリとも動かず、周囲に笑われる中で「少なくとも俺はやってみたぜ」と言い放った台詞は当時の僕に強烈にぶっ刺さりました。
生きる上で大切にすべき「精神」を学んだ気がするし、この言葉は今でも僕の心にめちゃくちゃ残ってますね。
何かの映画雑誌で、リュック・ベッソンのベストワンが『カッコー』だと知りました。私自身の生涯ベストワンであり、遁走するチーフのエンディングは落涙ものです。
また、ジャック・ニコルソン、ルイーズ・フレッチャー、コンビが一緒に風呂に入る『アバウト・シュミット』も小品ながらよかったです。