「二重性」鏡 Raspberryさんの映画レビュー(感想・評価)
二重性
父は、自分の言葉を持つ詩人。
母は、自分の言葉を持てない校正係。
父は、自由とともに、罪悪感を得る。
母は、負担とともに、神聖さを得る。
祖国ロシアの、守ったものと失ったもの。
四大元素(火、水、風、地)の美しさと、自然に背を向ける人間。などなど。
全編にわたり、さまざまな「二重性」を感じた。
鏡は、二重性を暗示するとともに、ありのままの姿を映す意味を持つ。
母が髪を洗うシーン。水の中に潜む自分の本性と語らっているように見えた。
少年の知らない、ひとりの女性としての母の一面を見たような、衝撃的な幻視だ。
そしてラストの、草むらで戯れる若い両親と、何とも言えない母の微笑み。理想の聖母と現実の母が交差しているようだった。
理想を求めている限り、現実のむなしさは続く。
しかし、神聖さへの憧憬を忘れることなどできない。
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