「わからない。わからないがとにかく美しい」鏡 サンカントさんの映画レビュー(感想・評価)
わからない。わからないがとにかく美しい
タルコフスキーが自身の半生を自伝的に重層的に描いた作品。いきなり作者の父の詩の朗読が始まったりとりとめもなく連想、回想が続く。さらには20世紀の歴史のさまざまな一幕も挿入されていて、ほんとうに何度も観ているが今でもよくわからない場面が多数あると言わなければならない。しかし意味を気にせずに、映る「画」の連なりとして観るとこの映画はほんとうに綺麗な映画である。草原に風が吹いて音を立てる場面、終幕で老いた母が子どもたちを連れて森を歩いていく場面。ヨハネ受難曲の合唱が流れて言葉にならない強い感動を覚える。この監督の気取りは鼻につくところはあるが、この映画は印象的。
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