「「ミッドナイト・イン・パリ」まで25年待とう!」カイロの紫のバラ KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
「ミッドナイト・イン・パリ」まで25年待とう!
予告編で、映画の中から登場人物が出てくる
なんて荒唐無稽過ぎて観ることもなかった
ウディ・アレン作品だが
「ミッドナイト・イン・パリ」が、観る度に
好きになってきていた関係で初鑑賞。
しかし、現実と映画の中を行き来する
“第四の壁を壊す”手法としても
余りに直接的過ぎて「アニー・ホール」の
レベルにも到底及んでいなく、
最後まで没入出来ない作品だった。
だから、この映画がキネマ旬報の
1986年第2位とは驚いた。
この年は「エイリアン2」がベストテン内に
入る等、現代にも名を馳せる名作の少ない
公開年の中での上位選出と、他作品に比べ、
恵まれていたような気がする。
「アニー・ホール」や「ミッドナイト…」等
を上廻る作品とは思えないのだが。
観客の映画の世界への憧れや、
俳優の実像と役の上での虚像のギャップを
同じ人物で描く狙いは分からなくはないが、
二人が同じ場面に存在する違和感
の方が上廻った。
私だったら映画の世界を演劇物に変えて、
舞台の中の世界に完全に洗脳された俳優が、
毎日のように観劇に来ていた女性に恋をして
舞台から降りて騒動を巻き起こす、として、
同じ人物を同じ空間に置く手法は
採らないだろう。
その方がもう少し違和感なく、この作品に
入り込めたと思うがどうだろうか。
しかし、ウディ・アレンも
色々な手法にトライをした結果、後に
クラシックカーや馬車でのタイムスリップ
という理屈を超えたファンタスティックな
名場面を創造した
「ミッドナイト・イン・パリ」を我々に
届けてくれた。
この映画は、
それまで試行錯誤過程の作品と理解したい。
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