「カラダ、リセット」オルカ しんざんさんの映画レビュー(感想・評価)
カラダ、リセット
動物は大好きだ。
しかしシャチだけはどうにも映像で見るだけでもダメ。寒気と胃のむかつき、吐き気がとまらない。
とにかくあの巨体と生き物離れした白黒の幾何学的かつ流れるような芸術的なボディ。
あまりにも美しく、神々しい。まったく恐ろしい。
イルカショーで近くで見ようものなら、絶対オレは発狂する。間違いない。
なぜ俺はそうなったのか?
この映画のせいである。
トラウマ映画は実は10年位前まで結構あった。
「エクソシスト」「デアボリカ」「サスペリア2」「オーメン」「ザ・カー」「食人族」
(今思うと、こけおどし映画がやっぱり子供心に怖かったんだねえ)
そして「オルカ」。
現在。
「エクソシスト」はディレクターズ・カット版に猛烈に駄作マークを突きつけるぐらい好きな映画となった。
「デアボリカ」はその場違いなサウンドの使い方にほれ込んだ。
「サスペリア2」はダメダメなストーリーと鏡のババアにほれ込んだ。
「オーメン」は「ゴッドファーザー」に並ぶ好きなサーガだ(少し言い過ぎ)
「ザ・カー」はマスコットにしたいくらいかわいい。
「オルカ」・・・・・オエエエエエ、は、吐きそう。未だに吐き気は抑えられない。
しかしこの吐き気をすっかりマゾ気質の体が覚えてしまったのか、年に1回は経験したくなるのだ。
本作の素晴らしい点は非常に多い。
1)映像がすごい。
とにかく海中のシャチ、海面のシャチ、シャチの美しさがすっごい伝わる。どうやって撮ったんだろ、というぐらい凄いよ~。
2)エンニオ・モリコーネがすごい
モリコーネといったら、これか「アンタッチャブル」「ワンス・アポン」か「エクソシスト2」かというぐらい印象深い。とくにこれは美しいよ~。
3)シャチはほんとに頭いいんだと思わせるアツイ家族愛とやりすぎ感のバランスが日本人の琴線に触れる。
復讐に燃えるシャチを男として認定し、シャチ相手にケジメをつけるため海に出る男のかっこ悪さとかっこよさの同居ぐあいがとても気持ちいい。
4)リチャード・ハリスがすごい
この愛しいガンコオヤジをハリスが名演。ランプリング演じる博士が北極にまでついていくぐらいほっとけない感じがすっごいよく出てる。
この映画を観終わると、吐き気と満足感が同時に襲ってくる。この訳のわからない、オレだけの特別な時間が始まるのだ。
なんか、カラダリセットにこの映画を使っている気がする。
ふふん♪
あ、「食人族」!
克服する意義はあるのか先にそれが知りたい。