劇場公開日 2016年10月15日

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「まだ、このテーマ音楽があればやれるのではないか」男と女(1966) きりんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5まだ、このテーマ音楽があればやれるのではないか

2023年11月6日
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鑑賞方法:DVD/BD、映画館

主役はフランシス・レイのこの
「メイン・テーマ」だろう。

助演はカーレーサーと、そして
俳優の妻だ。
ハイクラスな寄宿舎で、子供の送り迎えで、ふと視線を交わした二人。
子の名はフランソワーズとアントワーヌ。
親の名はアンヌ。そしてジャン・ルイ。

【ダバダバダ効果】
華のレーシングカー乗りと、女流映画人の、これは誰も否定しない絶世の釣り合いですよね、
もう少し出演者のランクをいじっても、どこまでならこの「フランシス・レイ効果」が持続するだろうかと きりんは考える。

トラック運転手と女教師 = it's us
タクシー運転手と婦人警官
ペンキ職人とヤクルトおばさん
植木職人と箏曲師範

・・大丈夫みたいです。職業に貴賎なし。
ダバダバダ〜♪は恋の呪文ですもの。

ほら、どうです?
ふと振り返ってみたい《誰か》に、街中で出逢うことってありますよね。
心にBGMを流してみて、そこであなたが一歩を 踏み出せるかどうかです。

サウンド・トラックは
改めてよく耳を澄ませると、これはずいぶん洒落たアレンジです。
あのスキャットだけが抜きん出て有名なのですが、バックで伴奏で流れるフレンチポップスの タイミングのずらしが珠玉。
すれ違った男女が、出逢いながらも またすれ違ってゆく様子も、この演奏のフェイク=ツッコミやモタリのずらしで演出しています。“粋”です。
寡黙なセリフの代わりにシャンソンも挿入されて、二人の思いを説明してくれる仕掛け。

【筋は、有って無きがごとき】
大昔、僕は「男と女」は観ています。
レーサーと子連れの女性が、煉瓦造りの寮の前で初顔合わせ・・覚えているのはそれくらいでしたね。
今回、久しぶりの鑑賞で、事前にストーリーはおぼろげで 今ひとつ思い出せなかったのですが、それもそのはず。シンプルに、ただただそれだけのお話なのでした。

長々と自動車が映り、
雨が降り、
雲と遠浅の海と濡れた歩道が流れる。
そこにタバコをくゆらす男女の影が重なって
まるで絵葉書をめくりながらフランシス・レイを流すための映画だったのです。

モノクロと天然色の交互撮影。
薔薇色だったはずのアンヌが、ベッドシーンから彼女までも色味を失っていきます。

新しい恋を始めるにしても、それぞれアンヌもジャンも、「かつての最愛のパートナーとは無念の死別であったこと」がお互い足かせとなり、また踏ん切りの理由ともなる。

・・・・・・・・・・・・・

【偶然に生まれた傑作】
ルルーシュ監督のインタビューをDVDで観ましたが、
駆け出しのクロード・ルルーシュが、アイデアと資金の枯渇で苦しんでいた時に、夜中に車を飛ばして彼はドービルの海岸へ。
早朝6時に、浜辺を犬を連れて歩く女性と子供を遠目に見ていて、それがそのまま映画のコンテになったのだそうです。

脚本1ヶ月半。撮影3ヶ月。
撮り方も売り込み方も知らず、破産寸前で、機材は旧式のカメラ。そのカメラの騒音がマイクに入らないように望遠を使ったのだと。
ヒロインの扱いにも、アヌーク・エーメの「船には乗りません」発言等、彼女の神経質ゆえの大変な苦労話が。
そして印象的なあの「カラーと白黒の混在」ですね。あれは実はフィルムを買う金がなくて、全編モノクロの予定であったものが、アメリカのプロデューサーから「TV放映のためにカラーにしろ」と資金の提供があり、フィルムが半々になったのだと。

なるほど、急ごしらえで技量不足。
レースのシーンが過多でバランスはあまり良くない。
女優の要求にはほとほと困った。
それらこれらの背景があって、
ゆえに、男女が「ギクシャク」している様子は自然に映るし、
ストーリーが「荒削り」の撮影突貫工事も、この作品独特の味わいと、そして唯一無二の魅力として、図らずも名作誕生に寄与したということですね。

「続編」も年を経て発表されていますが、観るつもりはありません。
それは蛇足というものでしょう。

映画「プレタポルテ」で再会したアヌーク・エーメさん。もう一度この作品で彼女に会えました。両作ともトップは出しません、そこがよろしい。

晩秋の、ブランチタイム。
しっとりしたスクリーン模様でした。

きりん
りかさんのコメント
2023年11月26日

おはようございます😃
寝落ちしての早起き、
きりんさんも?

続編もあるのですか?本作ほど有名ではないですね。
好きな方おられるのですか修羅場
探してみますが、観ることができるかどうかわからないですね。
お気遣いありがとうございます😊
本当、寒いです😨🥶イヤ〜な冬

りか
りかさんのコメント
2023年11月26日

一つわかったことがあります。
アンヌに比べてジャン•ルイが、
かっての妻を思い出すシーンが最後以外無いのがわかりました。

りか
りかさんのコメント
2023年11月26日

言ってやって❗️ジャン•ルイに、
とうとうと流れるように。

わざわざあのシーンを挟むのは、
おっしゃることを期待してのことですね。
🙈🙊🙉🙈🙉🙈🙊🙉
私の頭の中の思考の許容範囲を
超えましたので。

りか
りかさんのコメント
2023年11月26日

おはようございます😃
大変ご親切なコメントいただきましてありがとうございました😊

えっ⁉️えっ⁉️えっ⁉️えっ⁉️
えっ⁉️えっ⁉️
失礼ながら、あの方一夜の方ではなかったのですか❓
‥‥そう言えば、いいママになるとか、‥‥なる雰囲気無いし、
ジャン•ルイさんもなぁ、
だらしないというか、🦒さん、

りか
りかさんのコメント
2023年11月25日

こんばんは♪
共感コメントしていただきましてありがとうございました😊

どこが講談師よ⁉️とレビューを見たら、なるほど、と私もクスクス笑ってしまいました。
特に、後半、男と女、
“ダメよ、駄目”が、バッチリ👌でしたね。上手いことおっしゃいますね。
ハッピーエンドは、いいですね🦁

りか
りかさんのコメント
2023年11月25日

こんばんは♪
素敵なレビューをありがとうございました😊
また詳しい制作秘話も教えていただきまして感謝です。
本当に名作❣️

りか
トミーさんのコメント
2023年11月6日

共感ありがとうございます。
色んな裏情報ありがとうございます。ひょうたんから駒、思わぬ効果が出ましたね。デビュー作(これは違うが)には作家の全てが出ると言いますが、はっきりとそれが感じられました。
恋の駆け引きで「アナログ2」とかも出来そう、ダバダバダ・・

トミー
きりんさんのコメント
2023年11月6日

Ford Franceと車に書いてあったのでスポンサーになってくれたんでしょうね。
本当はフランス車で走ってもらいたかったなぁ。
うちの叔父、バンドのギタリストだったんですが、1966年当時、赤いマスタングのコンパーチブル乗ってました。憧れの叔父でした。

きりん