劇場公開日 2000年12月9日

「作品ジャンル「ミラクル」」オーロラの彼方へ つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5作品ジャンル「ミラクル」

2024年3月17日
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鑑賞方法:DVD/BD

もう20年も前の作品になるんだね。評判が良いのは知っていたけど、過去の父親と無線で繋がる感動作って、ちょっとファンタジー色が強そうで何となく観る踏ん切りがつかずにいた。ファンタジーはあまり好みではないので。

覚悟を決めて実際に観てみると、確かにファンタジーがベースになっているが、多くのレビュアーさんが書いているようにアクション、サスペンス、感動ドラマ、ファンタジー、SF、スリラーと、あらゆるジャンルを内包したごった煮作品で、どれか一つを決めるならアクションだと思う。
悪者を倒し美女とキスして終わる80年代のアクション映画の、感動が強くなっているような感じかなと。

過去を変えて未来も変えるというのはタイムトラベル系ってことになると思うけど、キャラクターが過去と未来を往き来できるわけではないし、決められた過去より前は修正できない足枷感が斬新だったね。
それをうまく使って過去と現在が同時進行するのも面白かった。

だけど、本作が本当に面白い理由は、ここまで書いたような設定じみたことではなくて、もっと単純にワクワク、ドキドキ、ハラハラできることだろう。一言でいえば興奮するのだ。
もうツッコミなのかも自分で判断できない声をあげてしまうんだよね。
前半の感動アクションパートでは「酒など飲んどる場合かっ!早く無線だ」だし
後半のサスペンスアクションパートでは「コーヒーなど飲んどる場合かっ!早く野球を見ろ」で
「野球など見とる場合かっ!早く戻れ」と続く
最後の感動アクションパートで「オーロラなど見とる場合かっ!早く無線だ」と
とにかくキャラクターを応援しちゃうんだよね。

それもこれも、序盤から何度となく親子愛の描写を積み重ねてきた結果だと思うんだ。
例えば最初の頃にフランクが、息子に指一本でも触れたらだだじゃおかないと凄い剣幕で言うが、言われているジョンは自分のことなわけで、何て言うか、父も息子も30年の溝のおかげか過剰な愛情表現がわざとらしくなくて、観てても嫌味じゃないんだよね。
間接的だけど直接的な愛の確認行為みたいな。

ぐちゃぐちゃになってもおかしくないほど色々詰まった作品だけど、何かが欠けたら成立しないような絶妙なバランスで成り立った良作。
こんなミラクル、太陽の黒点のせいに違いない。

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つとみ