「ブランチ―ウマ―ベティ・ディビス=女優、ステラ―アメリア―ニナ=母」オール・アバウト・マイ・マザー もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
ブランチ―ウマ―ベティ・ディビス=女優、ステラ―アメリア―ニナ=母
①エンドロールの最初に出てくるアルモドバルのメッセージの中で「女優を演じた全ての女優に」とある中に、ベティ・ディビス、ジーナ・ローランズと並んでロミー・シュナイダーの名前が出てくる。前述の二人が女優を演じた映画の名前はすぐ思い付いたが、さてロミー・シュナイダーが女優を演じた映画ってなんだっけかな、と思った。②この映画に出てくる主要なキャラの中で普通の男なのはマヌエラの息子のエステバンだけ。それも映画の初めの方でいなくなってしまうから(ただ彼の存在は映画を通して影を落としている)、この映画の主要キャラは全て女(と女になりたい男)である。といっても女性讃歌みたいなのとはちょっと違う。③題名から勝手に母ものみたいに思っていたけれど、映画が始まってすぐ「All About Eve」をもじった題名なのだと気付く。マヌエラとエステバンとがエステバンの誕生日に観に行った舞台で且つ映画の中で重要な役割を果たしているのも「欲望という名の電車」である。どちらも母ものではない。④それにこの映画の主要キャラの中に所謂普通の母親はいない。マヌエラは確かに母親だが直ぐに子供を失った母親となる。ロサは母親になる前に死んでしまう。ロサの母は確かに母親だが子供から拒絶された母親である。ニナは最後母親になったらしいが話の中で語られるだけで画面には登場しない。⑤一方、この映画の中で「All About Eve」のマーゴ役に当たるのが名声のある女優でレズビアンのウーマである。彼女が演じるのは勿論ブランチでなくてはならない。考えてみたらブランチは女優であれば一度は演じてみたい役であろう。しかし母的なものとは程遠い役柄である。若い頃演劇をかじりでも母親になったマヌエラが演じていたのはブランチではステラでなくてはならず、ステラを演じたニナは映画の最後で母親となる。⑥アルモドバルの演出は悲劇と喜劇との塩梅がとても良く、かといって人間ドラマというのとはちょっと違うと思う。⑦マグラードが『「百万長者と結婚する方法」みたい!』といったマヌエラのアパートメントでの、マヌエラ、ロサ、ウーマ、マグラードの女子会シーンが印象的。⑧キャストの中では息子を失った悲しみを抱えつつ周囲の人々を慈しむマヌエラ役のセシリア・ロスの滋味溢れる表情と演技かわ宜しい。
こんばんは。ロミー・シュナイダーといったら恐らく、ハプスブルク家の最後の王妃シシィー三部作映画だと思います。彼女のシシィーは売れに売れましたが、シュナイダーはその後はいくらお金を積まれても絶対にやらなかった程、嫌だったようてす。シシィーのいい時期、美化されたシシィだけの映画だったからか。ヨーロッパで評価高かったシュナイダーが故郷のドイツで評価されなかったとのことです。