劇場公開日 1993年7月10日

「【ハリウッドを追われたオーソン・ウェルズが自らをオセロに準えてシェイクスピアの4代悲劇の一作を映像化した作品。】」オーソン・ウェルズのオセロ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【ハリウッドを追われたオーソン・ウェルズが自らをオセロに準えてシェイクスピアの4代悲劇の一作を映像化した作品。】

2024年12月11日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

難しい

■粗筋は、シェイクスピアの4代悲劇の一作、オセロに可なり忠実に描いているので割愛。

◆感想

・オーソン・ウェルズ自家薬籠中の、陰影のつけ方が抜群に美しい映像が続く。

・リドリースコット監督の歴史作品の如き、重厚な城塞のセットも見事である。

・オーソン・ウエルズの、バリトンに近いテノールヴォイスも深みがあり、美しき妻デズデモーナの浮気を疑うオセロの懊悩を巧く表現している。

<ご存じのように「オセロ」はシェイクスピアの4大悲劇の中では、可なり平明な作品であり、物語の作りの奥深さはない。
 何故に、オーソン・ウエルズは「オセロ」を映像化したのであろうか。
 これは、全くの個人的な意見であるが、彼はハリウッドを追われた自分をオセロとして演じたのではないであろうか。
 奸臣であるイアーゴは、ハリウッドで彼をねたみ、追放した人々の象徴であり、オーソン・ウエルズは自身を、悲劇の人物オセロとして演じたかったのではないかな、と思ってしまった作品である。>

NOBU