劇場公開日 1982年5月8日

「本作がなければ、マイケル・ジャクソンもキングオブポップとなり、伝説のアイドルとの名声を欲しいままにすることは、なかったかも知れないのです」狼男アメリカン あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0本作がなければ、マイケル・ジャクソンもキングオブポップとなり、伝説のアイドルとの名声を欲しいままにすることは、なかったかも知れないのです

2021年9月7日
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鑑賞方法:DVD/BD

これぞカルト映画そのもの
特撮ファンは当然観てますよね

まさにホラーとコメディの結合
笑いがあるからこそ、ホラーがより怖く強烈に表現できるのです

原題の「An American Werewolf in London」を、
普通なら狼男ロンドンに現るとか、ロンドンの人狼と邦題にするところを、ロンドンをスパッと切って「狼男アメリカン」とした、当時の配給会社の人のセンスには脱帽です
コメディの要素があると見事に表現できています

狼男への変身シーンやゾンビは特撮映画史に残るものです
全く画期的な映像です
CGの無い時代に、一体どのようにしてこのような映像が撮れるのかと驚嘆するものです

特殊メイク担当は、リック・ベイカー
彼はスターウォーズに参加して数々のキャラクターを作り出した伝説の男

彼は本作の特殊メイクで、新設されたアカデミーメイクアップ賞の最初の受賞者となったのです

狼男への変身シーンは、それこそ1930年代の白黒映画の時代でもあります
しかしそれらは、フィルムのつなぎ合わせで実現させていますから動きの無いものです

しかし本作では、明るい照明の中で、次第に人間から、狼男に変身していく様をじっくりとみせてくれます

狼男への変身が裸で行われます
獣毛が生え、骨が伸びて、体の形が変わっていくのです
身体が変わっていく痛みに苦しみのた打ちまわるのです

これは思春期の性徴と同じであり、勃起の暗喩でもあると監督が特典映像で語っていました
なるほど!とハタと膝を打ちました
それで劇中の映画館で上映されているのはポルノ映画なんだと

最初の変身シーンに流れるのは、1959年のサム・クックの美しい歌声のブルームーン
エンドロールに掛かるドゥーワップの曲も、1961年のマーセルズのブルームーンです
憎い選曲じゃないですか

エヴァンゲリオンのFly To The Moonは本作がお手本だったのかも知れません
強烈な内容には、精神の安定になる音楽が必要なのです
それほど狼男に喰い千切られる犠牲者の肉体の損壊ぶりの凄まじい迫真さ、そして食い破られて肉片をぶら下げたゾンビの登場はあまりにも強烈でした

1981年8月米国公開
マイケル・ジャクソンのスリラーがMTVで初放映されたのは1983年12月

これも本作と同じジョン・ランディス監督の手になります
もちろん本作に惚れ込んだマイケルのオファーに依るものです

14分にも及ぶミュージックビデオ
当時としては常識外れの長さのビデオでした
狼男とゾンビが登場する映像は、もちろん本作からの由来です
特殊メイクはもちろんリック・ベイカーです

ゾンビの集団ダンスはブームになって、みんなコピーしようとしたほどです

この曲が地球規模で史上最大のヒット曲になったのは、もちろんスリラー自体の楽曲とマイケルの歌が最高であるからです
しかし、このミュージックビデオの力が非常に大きいのは間違いないことです
もしこのビデオがなかったらここまでの成功は無かったでしょう

つまり全ては、本作の凄さが始まりなのです
本作がなければ、マイケルもキングオブポップとなり、伝説のアイドルとの名声を欲しいままにすることは、なかったかも知れないのです
本作はそれほどの影響力を持っていたのです

14分の完全版スリラーはYouTubeで簡単に視れます
本作鑑賞のあと、是非こちらもご覧下さい

もうすぐお月見です
2021年の十五夜は9月21日だそうです

蛇足
マイケルつながりで、東京ディズニーランドのかって存在したアトラクション「キャプテンEO」 の映像もジョン・ランディス監督と混同されがちですが、こちらはコッポラ監督です

あき240