「わかりませんよ、パゾリーニさん」王女メディア H・Hさんの映画レビュー(感想・評価)
わかりませんよ、パゾリーニさん
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ひどくわかりにくい作品になっています。
王女メディアの物語の核は、
①ギリシャの英雄イアソンと異国の王女メディアが恋に落ちて結婚する
②ギリシャに嫁行ったメディアは異国で辛い思いをする
③あまつさえイアソンはメディアを捨ててほかの女と結婚する
④メディア怒って子供を殺す
ということなんですが、この映画では①~③のプロセスがほとんど描かれない。パゾリーニ監督は、どうせそんなストーリーはみんな知ってるだろから、割愛しちゃえ!とおもったのかどうか。しかしそれでは、メディアとイアソンがイチャイチャするシーンが無いと、あとの裏切られた怒りが感じられない。演じるM・カラスは終始ブスッとしてて怒りが高まる感じが出ない。
イアソンの再婚相手に呪いの衣装を着せて殺害するシーンは二回あって、はじめは衣が燃えて焼き殺す、二回目は高い城壁からの墜死。一回目は幻想シーンということになりますが、見ててかったるい。どっちかひとつだけでよかった。
う~ん、パゾリーニさんはメディアの心象風景に焦点をあててつくろうとしたのか?あるいは、単にマリア・カラスをスクリーンに出せばそれでよかったのか。
情景描写はすばらしかった。トルコ・アナトリア地方の驚くほどの広大さ、原始的な人々の残酷・野蛮な風習、目にうるさいほど飾り金具だらけの衣装。
様々な民族音楽、とくに日本の筝曲や長唄(かな?)がよく出る。西洋人にはエキゾチックなんでしょうけど、日本人の耳にはどうでしょうか。
やっぱり、イアソンとメディアより、彼らをとりまく「せかい」をパゾリーニさんは描こうとしたんでしょうか?
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