エル・マリアッチのレビュー・感想・評価
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サム・ペキンパーとタランティーノの影響受けているじゃん
イタリア製ウェスタンとわらの犬じゃん。
サム・ペキンパーとタランティーノの影響受けているじゃん
ど何も知らない吾輩は気軽に見る。
見終わって、同じ様な映画があるのを知る。
不条理には不条理を
気弱で売れない音楽家がギャングの抗争に巻き込まれ、大切なものをほとんど奪われてしまうという悲惨な物語を、緩急の激しい絶叫マシン的コメディとして描いた良作。『フロム・ダスク・ティル・ドーン』のあの露悪趣味はここから既に始まっていたんだな…と納得した。
銃器と取り違えられて盗まれてしまったギターを取り返すべく、ギャングたちの絶え間ない暴力の合間を必死に奔走する主人公のマリアッチだったが、ラストではギャングに意中の女を惨殺され、そのうえ片方の指を吹き飛ばされ、音楽家としてのキャリアを永遠に断たれてしまう。
しかし彼はその場に落ちていた銃を手に取るや否や、高笑いしていたギャングめがけて容赦なく銃弾を撃ち込んだ。彼はギャングの根城に踵を返し、殺された女の飼っていた犬をバイクに乗せて、どこかへと走り去っていった。ゴツいバイクにフワフワした犬という取り合わせが、この映画の不条理な顛末をそのまま寓意しているようでかなりよかった。
抗争に巻き込まれるうちに精神的にタフになっていく主人公は『フロム〜』の吸血鬼たちとの死闘の中でどんどんハードボイルドに練磨されていくケイトと重なる部分が多い。
まあ、所詮ナンセンスなコメディだから、と開き直ってしまえばそれまでだが、私はここにフィクションならではの滋養作用を感じ取る。
どんな不条理も乗り越えてしまう不条理な登場人物の存在というものは、我々に笑いと同時にある種の爽快感を与えてくれる。我々がふだん巻き込まれている数多の小さな不条理を、我々の代わりに吹き飛ばしてくれたかのような爽快感。
フワフワした犬を乗っけた禍々しいバイクに跨りながら荒野を駆けていく彼を、バカバカしいと嘲笑う一方でやけにカッコよくも思えてしまうのは、つまりそういうことなんだと思う。
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