「【はたして生物としてはどちらが真っ当なのか】」エイリアン2 jin-inuさんの映画レビュー(感想・評価)
【はたして生物としてはどちらが真っ当なのか】
前作より大きくパワーアップして帰ってきた本作。なにが違うかというと、まず前作ではエイリアンと戦ったのがただの宇宙船の乗組員たちでしたが、そんな素人同然の奴らとは違い、今回は屈強の海兵隊員どもが乗り込みます。しかも狭い宇宙船じゃなくて、広大な植民基地が舞台。エイリアンも今回はタイトル通り、大挙して押し寄せます。しかも女王エイリアンがラスボスです。リプリーは前作で飼い猫を救出しますが本作では人間の女の子を救出します。もう色々グレードアップした本作。前作はただの序章で、本作がメインディッシュです。
57年間も冷凍睡眠のまま宇宙空間を彷徨ったリプリーと飼い猫。偶然通りかかった船に救助され地球へ帰還します。証言が信用されず、頭イカれてる!と決めつけられるリプリー。
仕事も誇りも奪われ、自身も悪夢に悩まされます。そんな中、忌まわしき星で入植民157人が消息不明の連絡が。色々決着をつけるため、リプリーはアドバイザーとして調査隊に加わることに。
調査隊の海兵隊員たちは、威勢はいいですがどうしても敵を甘く見がちです。素手やタンクトップなど薄着で威勢よく巣の中へ突入しちゃいます。しかも大気製造プラントに弾が当たると核爆発するらしく、発砲禁止に。そら死ぬわ。全滅の危機に陥りますが、リプリーの機転でやっと3人だけ救出成功。無能の現場指揮官に代わり、いつのまにかリプリーが指揮を執ることに。さらに救出したヒックス伍長となにやらいい感じに。しかし、海兵隊員よりも強い普通の女性って、どうなんでしょうか…。
なにしろ主役のエイリアンさんが出てくるまで始まってから1時間以上待たされます。しかも出てきたら大量に押し寄せてきますので、どんな形でどんなことをしてるのか、詳細がよくわかりません。隊員たちも混乱していますが観客も混乱します。
今回は前作よりさらに高性能化した人造人間、ビショップが隊に同伴しています。見た目も人間と区別がつきません。ナイフ遊びで怪我をする茶目っ気も。もう海兵隊員全員人造人間でよくないっすか?人間にあんな危険な任務させちゃ人権派団体が黙っていないと思います。
住民は全滅しており、なぜかちっちゃな女の子だけがひとり生き残っていました。最初は誰にも心を開きませんでしたが、リプリーによく懐き、最後は「マミー!」と抱きつかれリプリーの母性本能をくすぐりまくります。エイリアンの赤ちゃんを火炎放射器で大量に焼き殺したリプリーvs怒ったお母さんエイリアンの「母性対決」はリプリーに軍配が上がり映画は幕をおろします。
本作でエイリアンが人間を殺す目的がはっきり描かれました。それは繁殖のため。人間を幼虫の養分にしたり寄生して変態したりに利用します。そして彼らは女王を中心に昆虫のような真社会性を持っており、母なる女王のためには我が身を省みず敵と戦います。一方の人類は金のため、楽しみのために他の生物を殺す唯一の生き物です。大変利己的。果たして生物としてどちらが真っ当なのか。本作はそんな問いを投げかけてきます。