「喜劇? 格言? なんと辛辣な。」海辺のポーリーヌ とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
喜劇? 格言? なんと辛辣な。
監督の「喜劇と格言劇シリーズ 第3作」。
避暑地での数日の出来事。
大人4人の恋愛観。言葉、そしてその言動。
主人公のいとこ・マリオン。
その元恋人・ピエール。
ピエールを通して知り合ったアンリ。
キャンディ売り。
そのドタバタに巻き込まれる若き恋人たち。
主人公・ポーリーヌ。
その相手・シルヴァン。
大人それぞれが語る言葉が、四者四様なのだけれど、青臭くて、自己中で…。その噛み合わなさと言ったら…。強いて言えば、アンリとキャンディ売りは似ているが。
ポーリーヌはまだ15歳なので、恋に恋する乙女。”愛”や”恋”というより、”経験”かな?親の監視の目を盗んでの冒険といったところか。
とはいえ、あの程度でフラれるシルヴァンがかわいそうな気もする。尤も、事実か、見栄を張りたい言動なのかわからないが、彼には、定住地に恋人がいると言っている。それを知っていて関係を持つポーリーヌ…。
その彼らの言動を、教訓として、笑ってみられるのか、
イタすぎる面々として目をそむけたくなるのか。
私は後者だった。
避暑地のアバンチュールなので仕方がないのかもしれないが、展開が早い。
特に、マリオンは離婚したばかり?。なのに、まるで盛りのついた犬のよう。ー避暑地での出来事を楽しもうとするバブル期の女子大学生?というほど舞い上がっている。
アンリが、私的には「ひと目で恋に落ちる」ほどの男に見えないので説得力がない。
かつ、マリオンも「完璧な女」として描かれるが、私的には美貌もボディもそうは見えず…。よっぽど、ポーリーヌのほうが美しい…。
ポーリーヌの方は、もう、”大人の階段”上りたくてうずうずしている様が、あったなあ、そんな時とまぶしくも危なっかしく見える。
アンリは、夜間に幼い娘を一人置いてダンスに出かけるし…。アンリが娘を膝にのせているのも、親子に見えず、性的虐待にハラハラしてしまう…。
それでも、ファッションは、どれも目を見張らされる。
ガウンとして出てくる、黒地に裏が赤の着物にはびっくりした。ジャポニズムって絵画の世界だけでなく、浸透していたんだ。
ポーリーヌのセーラーもかわいい。ボトムがひざ丈のちょうちんブルマ的なのもかわいい。パジャマ?もかわいい。
でも、その素晴らしいファッションが違和感を醸し出しもする。
ガーリーチックなファッション自体はいいのだけれど、常に肩がずり落ちているマリオンの様に、これまた盛りのついた犬のようにしどけなく見える。
粘着質なストカー男・ピエールのファッションが、妙に爽やかなのも違和感…。
そのへんも、シニカルな(笑)を狙ってのことなのか?
物語は、お決まり的な大人4人のドタバタに、ポーリーヌの、こうくるかという言動もあり、予定調和ではないが、とりたててすばらしい脚本というわけでもない。
しいて言えば、ポーリーヌの魅力で観る映画?
ーちょっぴり、ロリコンギリギリの際どささく裂。(ティーンエイジャーなので、ロリコンよりはちょっと年上だが)
DVDについていた特典で観ると、テストのほうが良い表情をしている。
映像も、避暑地の、フランスの風をたっぷりと感じさせてくれる。