「歴史は繰り返してほしくない方の歴史」動くな、死ね、甦れ! osincoさんの映画レビュー(感想・評価)
歴史は繰り返してほしくない方の歴史
目黒シネマ"幼いまなざし"二本立てシリーズパート2。
1950年代、旧ソ連の炭鉱町を描いた1989年の作品。白黒なのでよっぽど古い作品かと思ったら違いました。
第二次世界大戦直後ということで、終始それを思わせる描写。当時のソ連はこうだったのかな…そんな匂いがプンプンしていました。
監督の体験を元にしているそうで、かなりリアルなのではないでしょうか。
主人公の少年ワレルカは悪ガキ。賢くないし、底も浅い。母親もなかなかなダメ女。そういった教養の無さが余計にリアル。。
それに引き換え、ヒロインのガリーヤが聡明ないい子。さんざんワレルカに酷い目に合わされながら、なぜそんな天使対応…
ワレルカのやらかした悪戯は、悪戯にも程があるけれど、子供の頃って大なり小なりやり過ぎた!って経験しながら、自我を抑えることを覚えていくものですね。
自分も御多分に漏れず…
たまに出てくる日本兵達の日本語の『炭坑節』が印象的。
泥水を捏ねながらを口にする気がふれた学者。
ラストの荒唐無稽に歩き回る裸の女性。
戦時中の狂った世の中を表していたのか。
なんとも生々しかったです。
ソビエト、共産主義、と聞くと思い出しそうな映画。
2025.8.30 追記
二階堂ふみさんが、2010年に観た映画の中でこの作品が印象的だったと答えたことで、入江悠監督に見初められたという記事を読んだことがあります(映画「ロックンロールは鳴りやまない 劇場版 神聖かまってちゃん」の主演に抜擢されてます)。当時15〜16歳!
そんなことを別件でネタに書いていたら、リバイバル上映でしたので、ふみさんのご結婚もきっかけだったりして…なんて思ってしまいました。
おめでとうございます。
二階堂ふみさんの抜擢にそんな裏話があったのですね。ちなみに、この映画の宣伝のチラシに入江悠監督が「世界でいちばん純粋で、残酷で、優しい映画。こんな映画が生まれたなんて奇跡としか思えない」という言葉を寄せています