劇場公開日 2019年9月27日

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「シャイアンのテーマの強さ」ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト ターコイズさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5シャイアンのテーマの強さ

2023年7月8日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

映画が始まってしばらくたってもまだこの作品が何を描こうとしているのかわからない。どこかブレイキングバッドの蠅回を思わせるような出だし。誰が主人公なのかなんの物語なのか予備知識なしに観ているとわからないまま、濃い登場人物と無法地帯に飲み込まれる。徐々に、無法者のシャイアン、ニヒルなハーモニカ、寡婦となったジル、そして悪役フランク、実業家モートンを認識でき、彼らの物語なんだなとわかり始める。大きな筋書きとしては、シャイアンとハーモニカとジルが、フランクに立ち向かうという構図や、ハーモニカによるフランクへの復讐などがあるが、この物語は最後に締めくくられるシャイアンのテーマに象徴されるように、まさに「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウエスト」。無法地帯、無頼漢が制圧する世の中から、大陸を列車が横断し、庶民が力を握りいきいきと生きていく世の中が来ると期待させるような、ジルの姿がやはり印象的。どこか、七人の侍のラストを思い出すような光景で、そしてシャイアンのテーマで締めくくられることでその印象がより強まる。叙情的感傷的になることを求めないような、ユーモアとペーソスを感じる。どんな悲劇や執念があったとしてもそれはこの土地の血肉となるわけで、みんなただ生きていくんだなって、そういう感慨を抱いた。

ターコイズ