「序盤はやや切れ味悪いが、中盤以降は波に乗って面白くなる」インナー・スペース ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
序盤はやや切れ味悪いが、中盤以降は波に乗って面白くなる
80年代に「スピルバーグ製作総指揮」という言葉が万能の力を持つ中、ジョー・ダンテ監督とスピルバーグという「グレムリン」コンビが生み出した画期的なSFアドベンチャーがこの作品だ。今改めて見返してみると、序盤の描き方にスマートさが欠けるような印象を受け、なかなか本題に入らないまどろっこしさも残る。本編時間が2時間と長いのも、スロースターターに陥った要因か。
しかし、その後はどうだろう。タックとジャックの心と体が入れ替わったかのように展開する関係性は極上のバディムービーであり、さらに「小さくなる」という趣向が不測の暴走を遂げていく様もあまりに楽し過ぎる。やがて勇気と冒険心を手に入れたジャックの表情は、まるでスピルバーグ作品で見かける少年たちのよう。「ミクロの決死圏」などのDNAを受け継いだ体内描写も、CGのないご時世、ILMの力を借りて陶酔すべき映像マジックとして高品質の仕上がりを見せている。
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