劇場公開日 1959年10月10日

「『 いとこ同士 』 ~ ヌーヴェル・ヴァーグの結実」いとこ同志 細谷久行さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0『 いとこ同士 』 ~ ヌーヴェル・ヴァーグの結実

2017年11月18日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

タイトル『いとこ同士』( 原題は " いとこ " の複数形 ) から推して、ほのかな友情物語を思い描いていたが、観てみるとそこには厳しい現実と結末があった。受験を控えて田舎から従兄ポールのアパートに同宿するため、パリにやって来たシャルル。純で真面目、女も知らないらしい努力家、受験を控えてガリ勉もいとわない。異性にも不器用で好いた女性も横取りされてしまう。大都会パリは喧騒のようだ。対する従兄のポールは対照的に享楽的で女遊びや悪友を招いてのパティーで乱痴気騒ぎするのがが大好き。ポールも受験を控えているのに全くと言ってもいい程、勉強をしない。とにかく今が楽しければいいのだ。観ている我々は、当然、ポールに鉄槌が下って、シャルルには勝利と栄光がもたらされることを期待する。ところが、結末が反対なのがフランス映画らしい。終末は愚かしい。この映画もヌーヴェル・ヴァーグの試みのひとつとして突き放してみたい。

細谷久行