居酒屋(1956)のレビュー・感想・評価
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洗濯女、ジェルヴェーズ、三人の男、一人の悪女と物語を紡ぐ。
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物語を通じて、日常的な幸せが訪れるたびに結局はひもに金をむしられ困窮し苦しむ洗濯女ジェルヴェーズのお話。
彼女はクズな男(女癖のランティエ、のんだくれの夫クーポー)に毎回涙することになり、涙しているアップ描写が多い。最初は感情移入していたのだが、周りの男にいいように使われることを拒否できないところを見ていくうちに共感は失われていく。彼女は自分の財産や信頼できる家族を守り、それを犯すものを許しては行けない、一線を引く必要があるという義務を放棄している。そこに女を道具としてみる男たちのエゴが噛合い、彼女の周りに負の連鎖を約束している。
ラストに近づくにつれ、もういいよという思いが強くなった。ジェルヴェーズに嫌がらせをするポワソンという悪女も見ていて嫌になる。唯一、グジェだけは周囲の悪徳に染まらず、物語から退場していく。彼だけは良い物語を紡いでいて欲しいと願う作品だった。
日常的な一時の幸せは描写されはするが、最後までバッド。そんな作品として他に思い起こすのはミスティック・リバーくらいだ。しかしリバーの方は悲しい結末だがこの作品ほど嫌な思いは無かったような記憶があいまいだがある。この作品はどういう人に進められるかは悩む。恋愛ものが好きな人や鬱気質が全く無い人、女性向けだろうか。
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