怒りの葡萄のレビュー・感想・評価
全4件を表示
この映画を見て『アメリカは自由と民主主義の国?』と疑心暗鬼になった。
我が親父が『鉄道員』の次ぐらいに好きだった映画だ。
小学校3年生位の時に見せられて『アメリカって怖いところだなぁ』って思った事を覚えている。親父が『ニューディール政策』と『1930年の事』をクドクド説明していたのを思い出す。付け加えて『白人はインディアンの土地を奪ったが、アメリカ大資本家にも、苦労もしているんだ』と完全な左翼思想を僕に吹き込んだ。お陰で、ひねくれた天の邪鬼が僕には取り付いたようだ。
さて、50年以上経って、今日は二回目の鑑賞たが、ちっとも左翼思想ではないと気づく。つまり、カルフォルニアの先にはハワイがあって、その先には鬼畜大日本帝國がある。だから『I want you』でみんな冷静になってリメンバー・●●●●●●。だが、しかし、当時の僕はそんな事知らず、アメリカの農民は大変だ。と思い、脱亜入欧に磨きがかかる。『COMBAT』でサンダース軍曹が強いのは、こうした白人の努力の結果で、自由と民主主義の国とは言い難いが、日本はもっと酷いと思うようになった。自虐的歴史史観である。日本の農地改革は明治維新ではない。この映画上映後の1947年の事である。つまり、日本の小作農の現状はもっと酷い。それを反省する。
しかし、やはり、左翼的というよりも、プロパカンダ映画に見える。
さて、僕がアメリカは違うと誤解したのは『じゃじゃ馬億万長者』を見てから、なりは汚くとも、金を持っていると誤解した。
しかし、
最後に女性中心の社会を匂わせるも、百年近く経った今も変わらずに自由と民主主義を語るだけのノマドランドである。
ディフェンスの弱いオフェンスだけの歴史を繰り返して来た。
川の流れのように生きていく強さ
1930年代のアメリカ合衆国オクラホマが舞台。大恐慌、台頭する資本主義、深刻化する砂嵐。それらの影響で、慣れ住んだオクラホマを捨てて希望の地カリフォルニアへ向かうジョード一家の話です。
原作者のジョン・スタインベックはこの作品によりピュリッツァー賞を受賞し、後にノーベル文学書も受賞しています。
この映画の素晴らしい点を3つご紹介します。
1)セリフが素晴らしい
いくつも印象に残るセリフがありました。最も印象に残るのは、映画の最後でのママ・ジョードセリフです。
『女は男より変わり身が上手だ。
男は物事にすぐとらわれる。
人の生死、農場の事、何にでもすぐとらわれる。
逆に女は川のようにながれている。
滝もあれば渦もある。
けど流れが止まったりしない。
それが女なんだ。』
オクラホマを出る時に夢見たカリフォルニアでは、全く異なる現実が待ち受けていました。それを受け止めながらもそれにとらわれずに生き続けていく力強さを感じました。なんとなく「風と共に去りぬ」のスカーレットにも通じる力強さのように感じました。
ところで、川のながれって、鴨長明や秋元康なども取り上げるように、人生や生き方の比喩表現としてよく使われますね。
2)ママ・ジョード役のジョーン・ダーウェルが素晴らしい
ママ・ジョード役でアカデミー賞助演女優賞を受賞したジェーン・ダーウェルの演技が素晴らしいです。はまり役という言葉がピッタリです。
いわゆる「おっかさん」的なお母さん役です。カリフォルニアへ向かう道中の困難を経ても、カリフォルニアが夢見た理想郷と違っても、彼女が大丈夫と言えば大丈夫な気になります。自分の家族だけでなく、お腹が空いている子供たちにご飯を分けてあげる慈悲深さも素晴らしいです。無鉄砲なところもある主人公のトムも、ママのことが大好きなことがひしひしと伝わってきます。日本人でキャスティングするなら草笛光子さんか樹木希林さんあたりでしょうか。
3)音楽が素晴らしい
作中で使用されている、どこかで耳にしたことのある曲は「赤い河の谷間(Red River Valley)」です。原曲は白人青年とインディアンの娘の恋心を歌った曲です。本作中ではインストゥルメンタル曲を効果的に使用しています。曲のタイトルであるRed Riverがオクラホマを流れている河なので、この曲が選ばれたのかもしれません。ノスタルジー感漂うこの曲を耳にすると、ママと別れてひとり旅立っていくトムの姿を思い出さずにはいられません。
家族愛、正義、勇気などを感じたい人におススメの作品です。
自由の国アメリカで起きていた農民からの搾取。
ジョン・フォード監督による1939年製作のアメリカ白黒映画。
原題:The Grapes of Wrath、配給:昭映フィルム
ジョンスタインベック原作で、アカデミー賞で監督賞受賞の作品らしいが、自分にはかなり退屈な映画であった。
ただ、一家の中心というか主人公ヘンリー・フォンダの母親役ジェーン・ダーウェルは、環境が変わっても、夫とは異なりしっかりとそれに対応して生き抜いていく女性像を演じて、頼もしかった。
そして、そう昔でもない1930年代、オクラホマ州で砂漠化のため移動しなければいけなかった多くの農民を、低賃金労働で搾取する様な仕組みや移動してきた貧民が過ごす幾つかのキャンプ村がカリフォルニア州に存在した事実には驚愕。
また、有名だけど多分主演の映画を見たことがなかったヘンリー・フォンダ、品行方正のイメージであったが、こんな感じの悪っぽいあんちゃんだったとは。血は争えないというか、逆なんだが、娘・息子と似ているなと思ってしまった。
原作ジョン・スタインベック、脚本ナナリー・ジョンソン。
製作ダリル・F・ザナック、撮影グレッグ・トーランド、美術リチャード・デイ、マーク=リー・カーク、トーマス・リトル、音楽アルフレッド・ニューマン、編集ロバート・シンプソン、技術顧問トム・コリンズ。
出演はヘンリー・フォンダ、ジェーン・ダーウェル、ジョン・キャラダイン、チャーリー・グレイプウィン、ドリス・ボードン、ラッセル・シンプソン、O・Z・ホワイトヘッド、
ジョン・クォーレン、エディ・クィラン、ゼフィー・ティルバリー、フランク・サリーNoahフランク・サリー、フランク・ダリアン、ダリル・ヒックマン。
「脱獄したのか?!」・・・家族は一様にトムに声をかける(笑)仮釈放だってば!
800人募集というビラに飛びついて、なんだか楽しそうにカリフォルニアに向かう一行。行きたがらない祖父ちゃんは途中で死んでしまった。故郷で死にたかったろうに・・・
どこへ行っても労働者で溢れ追い出されてしまうファミリー。“難民”と陰口を叩かれていたが、なんだか現代にも通じるような内容だ。すると、あの場所は派遣村か?
なんとか5セントの桃摘みの職を得た家族だったが、そこは人が増えると賃金を勝手に減らされるためストライキが発生していた。その首謀者であるケイシーと言い争って勢い余って殺してしまったトム。やがて彼のため家族で逃げることになった。そしてトムは一人で・・・
最後のトムと母親(ダーウェル)の会話にジーンときた。労働争議とまではいかないけど、自然発生的なストライキ。世の悪を糾すなどと、当時としては画期的な体制批判。でも殺人罪を背負ってる男なんだし・・・
全4件を表示