「孤独な金持ち、貧乏人の友沢山」あんなに愛しあったのに talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
孤独な金持ち、貧乏人の友沢山
何歳になっても自分は根本的には変わらないと思う。この映画では「世界を変えようとしたのに変わったのは自分たちだ」という自嘲的なセリフがある。でも三人とも変わってない。
引用が口から溢れ出るインテリ教師の映画オタクは変わらない。ハンサムで高身長でプライド高く裕福に魅せられてしまったインテリ弁護士も変わらない。一番大衆的で社会を現実的に変えたくて地に足がついていてお喋りでケンカ早い病院勤務の彼も変わらない。
三人男性の熱い友情の中でルチアーナは翻弄されちゃうのかと思ったらそんなことはまるでなかった。
編集も構成も小さい小さい箇所も、舞台的演出を入れたり、楽しくて笑えて少し悲しくなって切ない映画だった。笑えたし凄いと思ったところ:エリーデの歯並び悪いなあと思ったら結婚後ジャンニに言われて睡眠中は歯の矯正。炭水化物や糖など食生活にも口を出される。エリーデの教養の無さを小馬鹿にしてるジャンニは結構、嫌な奴だ。ルチアーナとの一目惚れ場面は素敵だったけど。4分間写真の場に戻ったニコラ、肝心のルチアーナは消えていたけれど、残っていたのは笑顔から泣き崩れる顔に変わっていく彼女の4枚の写真。素敵だった。モノクロがカラーに変わる瞬間。冒頭同じシーンが3回繰り返されてやっと最後に繋がる。凝ってるなあ!
マストロヤンニはサングラスかけていても、ずば抜けていい男であるとすぐわかる。すごいなあ、オーラ!
スコラ監督の映画はこれで何本か見たけれどとてもいい。その時代のイタリアの社会や思想を見せてくれて小難しくなく、必ず笑えて心が暖かくなって少し元気に前向きになれる。
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