あんなに愛しあったのに

劇場公開日:

解説

同じ一人の女性を愛した3人の親友同士の30年間に渡る人生模様を、戦後イタリア映画の黄金時代への郷愁を織り混ぜて描いた、「ラ・ファミリア」のエットーレ・スコラの監督作品。製作はピオ・アンジェレッティとアドリアーノ・デ・ミケーリ、原案・脚本はアージェ・スカルペッリとスコラ、撮影はクラウディオ・チリロ、音楽はアルマンド・トロバヨーリが担当。出演はニーノ・マンフレーディ、ヴィットリオ・ガスマンほか。フェデリコ・フェリーニらが特別出演。

1974年製作/124分/イタリア
原題:C'eravamo Tanto Amati
配給:シネセゾン
劇場公開日:1990年12月22日

ストーリー

第二次大戦中のレジスタンスの同志、アントニオ(ニーノ・マンフレーディ)、ジャンニ(ヴィットリオ・ガスマン)、ニコラ(ステファノ・サッタ・フロレス)の3人は戦後、故郷でそれぞれの生活を始める。ローマで病院の看護人をしていたアントニオは患者のルチアーノ(ステファニア・サンドレッリ)と恋に落ちるが、そんなさなか弁護士を目指しているジャンニに偶然再会し、恋の三つ巴の末にジャンニに彼女を奪われてしまう。一方、田舎で高校教師をしていたニコラもヴィットリオ・デ・シーカの「自転車泥棒」にショックを受け、映画評論家を志して妻子を残しローマに出てきていたが、その頃ジャンニは弁護を引き受けた建設業者の娘エリデ(ショヴァンナ・ラッリ)と結婚し、棄てられたルチアーノはアントニオと再会した時、一緒にいたニコラに優しく慰められ、彼と一夜の関係を結ぶ。そんな彼らの恋愛模様の上にも年月が過ぎ、折しもフェリーニの「甘い生活」のロケが行なわれているトレビの泉の前で、アントニオは女優への道を歩み始めたルチアーノと5年ぶりに再会し、何度かの衝突はあったものの、ついに彼女と結ばれる。そしてまた何十年かが過ぎた後、アントニオはジャンニとニコラに再会する。ジャンニは義父の会社の実権を手に入れていたが、エリデを交通事故で失い、今やアントニオの妻となったルチアーノの姿を前に彼女への愛が忘れられず、傷心を胸にその場を立去る。翌日、アントニオとルチアーノ、ニコラはジャンニの家を訪れるが、3人が目にしたのは余りにも孤独な彼の姿だった。

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映画レビュー

4.5孤独な金持ち、貧乏人の友沢山

2022年7月6日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

楽しい

知的

何歳になっても自分は根本的には変わらないと思う。この映画では「世界を変えようとしたのに変わったのは自分たちだ」という自嘲的なセリフがある。でも三人とも変わってない。

引用が口から溢れ出るインテリ教師の映画オタクは変わらない。ハンサムで高身長でプライド高く裕福に魅せられてしまったインテリ弁護士も変わらない。一番大衆的で社会を現実的に変えたくて地に足がついていてお喋りでケンカ早い病院勤務の彼も変わらない。

三人男性の熱い友情の中でルチアーナは翻弄されちゃうのかと思ったらそんなことはまるでなかった。

編集も構成も小さい小さい箇所も、舞台的演出を入れたり、楽しくて笑えて少し悲しくなって切ない映画だった。笑えたし凄いと思ったところ:エリーデの歯並び悪いなあと思ったら結婚後ジャンニに言われて睡眠中は歯の矯正。炭水化物や糖など食生活にも口を出される。エリーデの教養の無さを小馬鹿にしてるジャンニは結構、嫌な奴だ。ルチアーナとの一目惚れ場面は素敵だったけど。4分間写真の場に戻ったニコラ、肝心のルチアーナは消えていたけれど、残っていたのは笑顔から泣き崩れる顔に変わっていく彼女の4枚の写真。素敵だった。モノクロがカラーに変わる瞬間。冒頭同じシーンが3回繰り返されてやっと最後に繋がる。凝ってるなあ!

マストロヤンニはサングラスかけていても、ずば抜けていい男であるとすぐわかる。すごいなあ、オーラ!

スコラ監督の映画はこれで何本か見たけれどとてもいい。その時代のイタリアの社会や思想を見せてくれて小難しくなく、必ず笑えて心が暖かくなって少し元気に前向きになれる。

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talisman

3.5男性三人+女性一人の人生模様

2022年1月4日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

イタリア解放戦線の戦士だった三人の男性の戦後30年の人生を縦糸に、イタリア映画への愛情(女優を夢見る女性の人生)を横糸に紡いだ作品。
三者三様に熱くてクセも強いのでw、私なら誰がいいかな…と考えたりして、やっぱり一番普通に幸せなのはこの人かな…という人にマドンナも落ち着いていた。笑
夫に愛されたくて一生懸命だったのに、最後まで振り向いてもらえなかった、伊達男の奥方がとても不憫で、マドンナにずっと未練タラタラの伊達男が一番罪深いと思った。でも、そんな彼も最後にマドンナにキッパリと断られて、自業自得だわとスッキリ。笑
三人の男優さんがそれぞれ個性的で良いし、マドンナ役のステファニア・サンドレッリさんも良かった。
フェデリコ・フェリーニ監督のチネチッタ撮影所でのシーンもあって、こんなに大層に撮ってたんだ、と興味深かった。

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SpicaM