劇場公開日 1971年8月28日

「冷静な展開で盛り上げるSFパニック」アンドロメダ… garuさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0冷静な展開で盛り上げるSFパニック

2021年12月25日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

 久しぶりに、DVDで再鑑賞。 改めて良くできた作品だと感心した。

 宇宙から来た未知の病原体から人間社会を守るため、科学者チームが奮闘する物語だ。 ダスティン・ホフマン主演の「アウトブレイク」のような、高い職業意識を持った医者が英雄的に活躍するエンターテイメント性の高い作品ではない。

 登場人物の個性の演出は、最低限に抑えられている。 科学者同士の立場や思惑の違いによる意見の衝突もあるが、それをメインにドラマを構成しているわけでもない。 選ばれた科学者4人が、最先端の研究所内で病原体の実態を一つひとつ解明していく。 そのプロセス自体が、緊迫感を高めていく作りだ。

 当時としては最先端と思われる科学設備が要所で使われており、リアリティは十分。 また、画面を分割して状況を説明するようなカットが使われ、ちょっと科学論文を見るような雰囲気の演出も施されている。

 科学者ならではの冷静かつ果敢な行動が重大な危機を回避していく展開には説得力があり、 それがこの作品ならではの盛り上がりを生み出している。

 原作は、マイケル・クライトン。 この作品で描かれているのは、現代科学では想定し得ない完全なフィクションの世界だ。 しかし、絶対に起こり得ない事態とは言えないだろう。 我々が、SF映画の設定の矛盾点を突っ込むのは、「現実と架空の物語とは違う」と思いたいだけだからだ。

 コロナ禍もそうだが、 実際に起こった問題の対策には、SF映画以上に突っ込み処が満載なのである。

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Garu