「模式化し過ぎた作風がリアリティ欠如感を招き…」アンタッチャブル KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
模式化し過ぎた作風がリアリティ欠如感を招き…
もう40年近くも前の劇場鑑賞後、
幾度かTV放映時にも観ていたような気が
するが、キネマ旬報ベスト4作品でもあるので
久しぶりに再鑑賞した。
さて、アンタッチャブル4人の中では、
その心変わりが詳しく描写されることは
無かったものの、
ショーン・コネリー扮する初老の警官が
“こんな歳になると、生きていることが大切に
思える…だから巡回をしてる”
との人生哲学だったにも関わらず、
修羅の世界に飛び込むのは、
人としての最後の信念を描いているようで
好きな人物設定だった。
しかし、この作品、エンターテイメント
として、それなりに面白かったものの、
何か違和感が。
確かに、駅での銃撃戦は見応えがあったが、
終盤の裁判屋上での殺人犯追跡劇など、
不自然に思える描写を多く感じ、
また、一人一人を充分に描写したいとの
目論見は分からないことも無いが、
巨大犯罪組織に挑むには
余りには少人数過ぎるアンタッチャブルの
設定についての違和感もあった。
ここは背景的な扱いでも良いから
その他メンバーを登場させるべきでは、
との思い等々が最後まで尾を引く鑑賞に。
そんなことも含め、全体的に模式化し過ぎた
作風はリアリティ欠如感を招いた印象だが、
そもそも、その模式化はこのような大作には
似つかわしく無く、
ブライアン・デ・パルマ監督については、
「キャリー」や「殺しのドレス」のような
小品の演出の方が魅力的に感じる。
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