劇場公開日 1981年1月31日

「安易にハッピーエンドにしないのが良い」ある日どこかで 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5安易にハッピーエンドにしないのが良い

2024年4月30日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

コメディ映画でも無いのに、好きな人に会うためにタイムスリップしたいと念じていたら実現したという設定が微妙だと感じたが、観続けているとそこは大した問題では無いと思った。あくまで男女の出会いと別れの切なさに重点が置かれている中々良い映画だった。

2人が恋愛関係になるきっかけがデートシーンだ。割と短いシーンだが、ここの映像の美しさが、2人が相思相愛であることを演出できていたのが良かった。レトロ調の映像で、温かい陽光が差す中、美しい海や花の見える公園を歩く2人の姿は、まるで印象派の絵画を思わせる。しかしデートシーンはもっと長く詳細に描いても良かった。ここが短いのでその後の別れもあっけなく感じられ、ストーリーの盛り上がりや切なさが薄れた。

ラストシーンを安易にハッピーエンドにしないところが、ストーリーに深みをもたらしていたのは良かった。しかし2人の出会いと別れによって彼の心に大きな傷を残したのを見ると、切ないという感情を通り越してただかわいそうだった。

根岸 圭一