劇場公開日 1985年2月

「モーツァルトの才能に嫉妬するサリエリの心理描写が見事です」アマデウス ノブさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 モーツァルトの才能に嫉妬するサリエリの心理描写が見事です

2025年11月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

長年気にはなっていたが、未見だった映画。
アカデミー賞受賞作だからいい映画なのだろうと想像はつきました。
今回、午前十時の映画祭にて機会を得たので観賞してきました。

かつて宮廷作曲家であった老いたサリエリの視点でモーツァルトを描いた作品。
甲高い声で笑い破天荒な人物であるが、音楽に関して天才的才能を発揮するモーツァルト。
宮廷作曲家になれたサリエリだが、自分には到底及ばない才能を目の当たりにしてその才能に嫉妬し憎しみさえも覚え。。。

格調高いモーツァルトの音楽とともにサリエリの心理が巧みに描かれ、見応えのある作品でした。
ある意味モーツァルトの音楽の素晴らしさを一番理解していたのがサリエリだったという皮肉が効いていて面白かったです。
彼を憎みながらも彼の作品に魅了され、実は一番のファンだったのかもしれません。
ラストで病床にあるモーツァルトに無理やりレクイエムを作曲させるサリエリだが、モーツァルトの口述を楽譜に写し取り曲が生まれる瞬間に立ち会い、彼はおそらく感動し至福の時を過ごしたのではないだろうか。
天才を前に自分は到底かなわないと悟らされる辛さをF・マーリー・エイブラハムが見事に体現していました。
一方、モーツァルトもあれだけの才能がありながらお金に困窮するという、芸術家にありがちな生前は恵まれず苦労する様子が伝わってきました。
しかしそれでも彼は持ち前の明るさで人生を思いっきり謳歌しているようにも見えました。
また、可愛いだけしか取り柄のなさそうな妻が意外としっかり者でモーツァルトを支える姿も印象に残りました。
確かに名作でした。

ノブ