「鬼才(モーツァルト)に嫉妬しながらもその音楽に魅了される天才(サリエリ)の半生」アマデウス 燈冴さんの映画レビュー(感想・評価)
鬼才(モーツァルト)に嫉妬しながらもその音楽に魅了される天才(サリエリ)の半生
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勘違いされている人も多いので先に断っておくと、サリエリは凡人ではない。
神聖ローマ皇帝やオーストリア皇帝に仕えた宮廷音楽家であり、ベートーヴェン、シューベルト、リストなどの天才達を見出し育てた、彼もまた紛れもない天才である。
その彼が唯一嫉妬した相手、それが鬼才モーツァルト。
女好きで浪費家、人間的に破綻しきっているのだが、その彼が作る音楽は完成されきっていた。
サリエリはモーツァルトの才能に嫉妬しながら、誰よりも魅了される。
天才が故に鬼才の才能の真髄を理解し得る。
他の皆がモーツァルトの才能に気付けずとも、それを理解し、痛感し、嫉妬し、そして愛した。
終盤、病に伏せたモーツァルトの作曲を手伝うサリエリ。
モーツァルトの頭の中で完成してた音楽が、彼の口を通してサリエリに伝わった瞬間。
恐らくここがサリエリの人生で最も至福だったのではないだろうか。
鬼才を唯一理解した天才。
「神は私に彼の才能を理解出来るだけの才能しか与えてくれなかった」
この一言が全てを物語っている。
理解できるから魅了され、理解できるから嫉妬する、そんな誰よりも人間臭いサリエリの半生は必見。
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