「映像美は賞賛に値するが」暗殺の森 ジョニーデブさんの映画レビュー(感想・評価)
映像美は賞賛に値するが
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この映画のポイントは映像美であり、特にカメラワークが素晴らしい。撮影が誰だと思ったら、「地獄の黙示録」や「ラストエンペラー」のヴィットリオ・ストラーロだった。
それと、ドミニク・サンダが美しく、圧倒的存在感だった。特にダンスシーンは見所だ。
ただ、他の俳優がややもするとコミカルで、ドミニク・サンダだけ異質な感じがした。それと、森で暗殺されるまでの展開と、暗殺されるシーン、ムッソリーニ崩壊後の主人公の行動、その3部分が全くテイストが異なり、かなり違和感を覚えた。
また、吹き替え版でなく字幕で見ているが、セリフのアフレコがかなり合っていないことが多く、基本的な作りの雑な面が気になった。特にステファニア・サンドレッリが一番ひどく、セリフや笑い声がわざとらしく、B級映画を二流の声優の日本語吹き替え版を見ている感じだった。
個人的にこの映画を低評価にしているのは、主人公だ。あんなに好きなはずのドミニク・サンダが殺されるのを何もしないでいるのは許せない。同じ優柔不断の性格でも、ベルナルド・ベルトルッチ監督の傑作「ラストエンペラー」の主人公には感情移入できたのだが。まあ、この映画から「ラストエンペラー」を作るまでは17年の開きがあるので、この頃はまだまだ監督も未熟だったのだろう。せっかくのヴィットリオ・ストラーロ撮影の映像美を台無しにしてしまった。
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