「甘くない「甘い生活」」甘い生活 もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
甘くない「甘い生活」
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①約3時間ある映画だが少しも退屈しなかった。さすがフェリーニ。ほぼ冒頭のマルチェロ・マストロヤンニとアヌーク・エーメ(美しい!)がパーティーを抜け出すシーンから『あっ、この映画良かも』と思った。②この映画を観ている間に頭を時々過ったのは「サテリコン」。あちらはキリスト教が伝わる前のローマの享楽と退廃。こちらはキリスト教が伝わった後のローマの享楽と退廃。冒頭の有名なキリスト像がローマ(正確にはバチカン市国)に運ばれる姿は、ローマにキリスト教が伝わる様を象徴している様。③作中、聖母マリアが見えるという(インチキ臭い)幼い兄弟を廻るエピソードが出てくるけれども、現代(当時ですが)のローマでは宗教さえニュースの種に成り下がっている。④不思議なことに、後年の渋い中年~老年のイメージが強いからか、この映画のマルチェロ・マストロヤンニには何故か分別のある大人の匂いが付きまとう。もう少し若くて腰の座らない感じの役者の方が良かったかも。⑤マルチェロの友人、「こいつ、死ぬな…」と思っていたら、やっぱり死にました。⑥特にパーティーに登場する女性たちのドレスやお召し物のデザインが良い。⑦ローマの社交界や上流階級の享楽的な日々がこれでもかと描かれるが、スクリーンから漂うのは空虚さばかり。ラスト、少女の呼びかけももうマルチェロの耳には届かない。⑧フェリーニらしい表現と記号(巨乳とか)を駆使して映画でしか描けない一大風俗絵巻。
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