「例外をつくらないこと」アパッチ砦 文字読みさんの映画レビュー(感想・評価)
例外をつくらないこと
1948年。ジョン・フォード監督。中央から最前線のアパッチ砦に左遷されてきた指揮官。規則を盾に現場に規律をもたらしつつ、同行している娘の行状まで管理しようとする。現場との軋轢を生じつつも指揮官として命令を下し続ける男。そのつけを最後に自分自身で払うことになる、という話。
自分自身を例外として扱わない(扱えない)という意味では極めて公平で、そのためにとてつもなく悲劇的な主人公。だからこの映画は基本的には悲劇だ。指揮官は権威を振るって満足してるのではなく、どうしようもなく規則を遂行しているだけだから(娘の交際相手について自ら規則から踏み出した行動をして部下にたしなめられ、謝罪している。肉親の感情×規則の遂行)。しかし一方で、その姿は喜劇的でもある。部下に規則で言い負かされ、娘に出し抜かれ、ダンスを踊らされる。この一筋縄ではいかない描き方がフォード監督の真骨頂。憎まれ役も憎めない。
ほかにも、同期らしき下士官との関係や新人教育の様子、兵士たちの日常などコミカルな部分が多くておもしろい。複雑な人間関係を複雑に描いている。
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