劇場公開日 1948年7月

「解説とは異なる隠喩が浮かんだが…」悪魔が夜来る KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0解説とは異なる隠喩が浮かんだが…

2021年5月6日
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鑑賞方法:DVD/BD

事前情報で、この映画は占領ナチスドイツ軍
と占領下フランス国民の関係を隠喩した作品
と知った。

男爵領地の民=フランス国民、
男女の悪魔=侵攻ドイツ軍、ともあったが、
とすると、
悪魔の親玉=ヒトラーかナチス幹部
男爵と姫の婚約者騎士=ヴィシー政権
なのだろうか。

一瞬、私の頭に皮肉な解釈が浮かんだ。

悪魔の男がドイツ軍将校で、
姫が彼と恋仲になったフランス人女性と仮定
すると、占領下に敵国軍人になびいたとして
戦後断罪され頭を丸刈りにされた女性達にも
見えても来た。
しかし、そうすると、2人を石像に変えた悪魔
は戦後のフランス国民となってしまい
無理な思い付きか…と反省。

原作は15世紀のフランスの伝説を元に、
と解説にあったので、
占領に関する隠喩要素を除いた元々の話の
骨子はどのようなものだったのだろうか。
ストーリーの外形を借りただけのもの
なのだろうか。あるいは、
15世紀にも、自由恋愛的要素を賛歌する風潮
があったのだろうか。

映画への私の解釈としては、
女の悪魔は、男爵と騎士の否定的人柄から
悪魔として使命を全うする方向に行けたが、
男の悪魔が恋に至ったのは、
姫が純粋な人柄だったから、との理解に。
しかし、
一般国民は姫で、男爵と騎士はヴィシー政権
だとしたら少し手前味噌に感じたり、
また、男の悪魔はドイツ軍内のどんな勢力を
イメージしたものなのか、
単なる希望の象徴的意味に過ぎないのか等、
私には理解不能の要素もあり、
マルセル・カルネ監督作品としては「天井…」
の方が自虐的な内容ではあるが、
解りやすく好みではある。

KENZO一級建築士事務所