「大自然を舞台にした壮大な非劇」アギーレ 神の怒り odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
大自然を舞台にした壮大な非劇
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エルドラドの黄金伝説はアドベンチャー映画の定番、「エル・ドラド(1987)」や本作など16世紀のスペインの遠征隊の他にも20世紀の探検家パーシー・フォーセットの「ロスト・シティZ 失われた黄金都市(2016)」やアニメーション「エル・ドラド 黄金の都(2000)」など何度も映画化されている。
本作は探検とか冒険と言うロマンでなく、ただ欲に釣られて内輪もめや暴挙に走り自滅する狂気のスペイン人の物語なので醒めた目で観てしまいます。布教の美名のもとに侵略を行っていた大航海時代の文明人の独善性や欺瞞が滲み出ていますね。
見どころは脚本、製作、監督と熱の入った巨匠ベルナー・ヘルツォークさんの表現美でしょう、冒頭から切り立った断崖を下る遠征隊の一行を延々と追ってゆく長回し、アマゾン川流域の人を寄せ付けぬ存在感など圧倒されます。アギーレ(クラウス・キンスキー)の放つ悪のオーラの凄いこと、無言劇でも行けるでしょう。
お宝発見のカタルシスも無く只々、人が死んでゆく大自然を舞台にした壮大な非劇なので芸術性は高いですが娯楽性を求める人には向かないでしょう。かくいう私もインディージョーンズのようなワクワクする探検ものの方が好みと言ったら身も蓋もありませんね。
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