「我々はアギーレに先導されて全滅に向かう筏に乗っているのではないか?」アギーレ 神の怒り あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
我々はアギーレに先導されて全滅に向かう筏に乗っているのではないか?
南米奥地のそのまた奥の奥での撮影がものすごい迫力を生んで画面の緊張感は半端ない
神の怒りとは、キンスキー演ずるアギーレの台詞
自らが地上の神と等しい絶対的存在として暴力を無制限に行使するとの意味だ
だがそこはどこか?
南米奥地未踏の川を下る筏の上のこと
そこにいるのはこの時点で十数名に過ぎない
ラストシーンに至っては、そこには猿だけが彼の人民なのだ
胸糞の悪い現地での征服の有り様と滑稽さ
そしてアギーレの狂気
現代の戦争の寓意としても読めるだろう
公開当時、ドイツは東西に分断され冷戦の最前線となって核を含む大兵力が日夜一触即発の状況で対峙していた時代なのだ
全滅してまでエルドラドを探し求めて戦い続けるのか?果たしてエルドラドは実在するのか?
我々はアギーレに先導されて全滅に向かう筏に乗っているのではないか?
それを問う映画でもあるのだ
それ故に21世紀に生きる我々にとっても、特に米中の新冷戦の最前線にいる日本人には観る意義がある
何より中国の人にこそ、観て欲しいと願うばかりだ
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