青髭8人目の妻のレビュー・感想・評価
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良く練られた脚本に裏打ちされたものの…
数年前までは、名前すら知ることのなかった エルンスト・ルビッチは、彼の 「私の殺した男」や「生きるべきか死ぬべきか」を観て、シリアス・コメディ両分野で 類い希なる才能を発揮出来る監督と 認識した一人だ。 ところで、この作品で、 ゲーリー・クーパーと共に主演した クローデット・コルベールは、 この4年前、「或る夜の出来事」「クレオパトラ」 「模倣の人生」の話題作に立て続けに主演し、「或る夜…」ではアカデミー主演女優賞を 受賞していた。 この作品も彼女が最も輝いていた頃の 作品の一つなのだろう。 さて、この映画、 ビリー・ワイルダーの脚本力によるものか、 序盤のパジャマを巡る展開には、 大人のウィットに富んだ見事なコメディ性に 浸ったが、 その後の展開も細やかで良く練られた脚本に 裏打ちされてはいたものの、 たたみ込むようにノンストップで進み過ぎる 構成のためか、ヒロインの、 一目惚れ→財産目当ての片棒→愛情への昇華 という彼女の心象の推移が 今一つ不明確に感じ、 逆説的な言い方になるが、 そのスピード感が平板さを招いてしまった ような印象を受けたことは ルビッチ作品として残念だった。
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