「 きむらゆういち氏によるベストセラー絵本の映画化。予告編でもかなり...」あらしのよるに kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
きむらゆういち氏によるベストセラー絵本の映画化。予告編でもかなり...
きむらゆういち氏によるベストセラー絵本の映画化。予告編でもかなりのあらすじを露出しているため、ストーリーはわかりやすく、ヤギのメイが愛らしいキャラのために感情移入しやすいアニメとなっています。氏によると、映画のために絵本の最終章を書き加えたらしく、最後まで目が離せない展開となっていました。また、お子様向けのメッセージだとは思いますが、「映画を3度観てストーリーを味わってほしい」とのこと。
「あらゆる世代に愛される」と銘打ってあるように、子供から大人まで楽しめる内容の映画ではあるのですが、メイとガブの友情以外に宗教的・哲学的な自己犠牲精神、生物学的な捕食や食物連鎖など、考えればキリがないほど奥が深いのかもしれません。この捕食者と被食者との関係に、子供に残酷な世界を見せたくないというグローバルなフェミニズムが絡み、争いが絶えない種族間の和平をも訴えてくる。しかし、解決法は敢えて避け、『ダイナソー』のように緑の楽園を求めて旅をすることを選ぶのです。
今年公開されたアニメ『マダガスカル』でもちょっとだけ取り上げていた“友情と捕食”。『未来少年コナン』でもジムシー少年とウマソーの関係もこれに当てはまる。手塚治虫氏の傑作『ブッダ』にも登場したウサギと僧の関係。探せばいくらでも出てきそうだ。
あらゆる世代に愛されると言われますが、各世代での感想はかなりばらつきがあるのではないかと想像できるのです。実際、会場で聞こえてきた声を参考に再構成してみました。
・小学校低学年男性
「お母さん、狼って怖いの?日本にもいるの?」
・普通の女子中学生
「メイってチョー可愛い!うちにもほしいなぁ~」
・真面目系女子高生
「涙が自然に出てきて、止まらなくなったの」
・読書系女子大生
「かなり宗教チックよね。あんなに簡単に命を差し出してもいいものかしら」
・テレビ好き系奥様
「KABAちゃん、うざかったわね」
・ネタバレ映画館系おっさん
「あの場面はパク・チャヌク監督だったらどうするかなぁ。殺された母親の復讐をするためにヤギの角を切り取って落とし穴を掘って、メイがガブに催眠術をかけて、狼のボスをおびき寄せて殺すんだろうな」