「ザ・フォーク・クルセダーズ「イムジン河」誕生の背景、在日朝鮮人社会、女高生沢尻エリカ、音楽加藤和彦」パッチギ! Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
ザ・フォーク・クルセダーズ「イムジン河」誕生の背景、在日朝鮮人社会、女高生沢尻エリカ、音楽加藤和彦
井筒和幸 監督による2004年製作の日本映画。配給:シネカノン
「帰って来たヨッパライ」「イムジン河」の作詞者である松山猛の自伝的小説が元で、1968年の京都が舞台。塩谷瞬演ずる主人公は高校2年生で、サッカーの試合を申し込みに行った朝鮮学校でフルートを吹いていた沢尻エリカに一目惚れ。そして、在日朝鮮人の集まりにギターを持って行き、イムジン河を彼女と協奏。また、彼女の兄の高岡蒼佑や彼の友人尾上寛之や波岡一喜との付き合いも始まっていく。
日本人と朝鮮人の高校生間での喧嘩の描写等、劇画チックな演出が好きになれなかったが、まあ何と言っても17〜18歳の沢尻エリカが幼くて可愛らしかった。偏見無く朝鮮人と自然に親しくなっていく主人公を演じた塩谷瞬もまあまあ。弱いくせにいきがっている尾上寛之が何とも憎めないキャラで、主人公とフォーク・デュオを作ろうと約束したのに、日本人不良グループに徹底的に痛めつけられて死んでしまうのが痛ましい。
個人としては知っている人間もいたが、在日朝鮮人集団や彼らの社会を自分は殆ど知らないので、大変に興味深かった。映画のなかでも虐げられ苦労したことが語られていたが、日本における彼らのことを、更にもう少し知りたいとも思った。
高岡蒼佑は北朝鮮に渡ってサッカー選手になると言っていた。夢物語の様に聞こえたが、調べてみると、2010年ワールドカップ出場の北朝鮮チームに日本で生まれ育った鄭大世と安英学(ともに朝鮮学校でサッカーを経験)がいたことを知り、かなりリアリティがあることを知った。
加藤和彦が音楽を担当していて、彼作曲の「悲しくてやりきれない」や「あの素晴しい愛をもう一度」が流れ、時代の空気感を奏でていた。
監督井筒和幸、原案松山猛『少年Mのイムジン河』、脚本羽原大介、 井筒和幸。製作李鳳宇、 川島晴男、 石川富康、 川崎代治、 細野義朗、エグゼクティブプロデューサー李鳳宇、プロデューサー石原仁美、ラインプロデューサー祷映。
撮影山本英夫、照明高村智、録音白取貢、美術金田克美、編集冨田伸子、音楽加藤和彦、助監督武正晴、制作担当杉原奈実
出演 塩谷瞬、高岡蒼佑、沢尻エリカ、楊原京子、尾上寛之、真木よう子(そして父になる等)、小出恵介、波岡一喜、オダギリジョー、キムラ緑子、ケンドーコバヤシ、桐谷健太、出口哲也、江口のりこ、智順ちすん、平松豊、加瀬亮坂口拓、木下ほうか、長原成樹、徳井優、小市慢太郎、笑福亭松之助、ぼんちおさむ、笹野高史、松澤一之、余貴美子、大友康平、前田吟、光石研。