「【”内田けんじ監督、新作作ってくれないかな・・。”序盤から張られた伏線の見事な回収を含めて、練りに練ったオリジナル脚本が秀逸な作品である。】」運命じゃない人 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”内田けんじ監督、新作作ってくれないかな・・。”序盤から張られた伏線の見事な回収を含めて、練りに練ったオリジナル脚本が秀逸な作品である。】
ー 内田けんじ監督は、劇場で10年以上前に劇場で「鍵どろぼうのメソッド」を鑑賞し、余りの出来栄えと今までにない邦画のテイストにビックリし、慌ててレンタルビデオ屋に馳せ参じ(というのは大袈裟だが)「アフタースクール」を鑑賞し、ストーリーテリングに唸った方である。
だが、この「運命じゃない人」はレンタルビデオには無く、「鍵どろぼうのメソッド」を鑑賞してから10年後に漸く、配信で鑑賞する事が出来た。僥倖である。-
■宮田(中村靖日)は、豪華なマンションを購入した後に、突然姿をくらました元婚約者・あゆみ(板谷由夏)のことを心配するほど人の好い男。
そんな彼のため、親友で探偵の神田(山中聡)がレストランで寂しそうに食事をしている恋人に逃げられ、婚約指輪を3500円で売ったばかりの真紀(霧島れいか:うわわわ・・、「ドライブ・マイ・カー」で主人公、家福の美しくも謎めいた妻、音を演じた方である。)をナンパする。
意気投合した宮田と真紀が宮田の家へ行くと、行方知れずだったあゆみが突然現れて、置いてあった荷物を取りに来たと言って宮田の家に入ってくる。-
◆感想
・内田けんじ監督のお得意の、前半は表面的な事実を平板に意図的に描きつつ、中盤から序盤に仕掛けられた伏線の、同時並行していた物語を絡ませつつ、回収していくテクニックと序盤の中村靖日、霧島れいから俳優陣の自然体の演技が、効いている。
・内田けんじ監督作品の魅力は、その作品構成の見事さの中に、”人間性肯定”の根本思想がある所である、と思う。
あゆみも、真紀も真なる悪人ではない。
浅井組組長も、札束の両側だけ本物の一万円札を付けて、部下に見栄を張る愛らしき男である。
<内田けんじ監督は「鍵どろぼうのメソッド」以降、短編一作を除いて、長編を製作されていない。事情があるのであろうが、今作を観ると矢張り、新作を観たいと思ってしまう。
練りに練ったオリジナル脚本が見事な作品である。>
NOBUさん、毎度どうもです。
この作品が公開された年、この邦画をナンバーワンにしていた映画ブロガーの方が大勢いたことを覚えています。
それほど衝撃的・・・というか伏線回収が見事だったという感じで。
それ以降の内田作品は、このデビュー作を超えられないジレンマが感じられるかなぁ・・・と、あくまでも個人の感想です。