欲望(2005)のレビュー・感想・評価
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板谷由夏さんが綺麗でした
性欲にまさる「欲望」があるのだろうか。
というのが、映画のキャッチコピーらしいのですが、『欲望』というタイトルは、あまりにも抽象的なので、知らない人は素通りしそうな映画かもしれません。小池真理子原作とあったので、気になって見たのですが、映画のタイトルをもうちょっと、印象に残るものにしたらいいのに、と思ってしまいました。なかなかの名画のように思えるのに。
主演の板谷由夏さんが本当に美しい。
体当たりの演技とはこのことかと思ったほど、惜しげもなく裸体になっていますが、いやらしい感じはなく、図書館司書の仕事をしている青田類子は、知的で清楚な女性です。類子の秘めたる「性」や「愛」の生活をうまく表現しています。
夫(恋人)が性的不具になるという話。
古くは『チャタレイ夫人の恋人』(D・H・ロレンス)でも扱われているテーマ。
チャタレイ夫人は、夫の不具をきっかけに、肉欲からはじまった愛に目覚めますが、この映画の類子は、その逆で、妻子ある男性(大森南朋)との肉体関係を打ち切って、性的不具の秋葉正巳への愛に没入していくきます。類子と正巳のラブシーンが痛々しく辛いです。
年の離れた精神科医(津川雅彦)と結婚した阿佐緒の高岡早紀の、とりとめない、危なっかしい感じがよかったです。セックスレスで悩む阿佐緒ですが、スパイスが効いた役どころ。
ただ、正巳役の人がもう一つだったような。
性的不能といっても性的な欲望はあるようで、観念の中だけで男性が肥大化している現実があるのですが、ロボットのような台詞に少しげんなり。原作は読んでいませんが、映画を観たあと、Amazonでさわりだけをサンプルで読んでみたら、正巳は美少年という設定。よく知らない俳優さん(村上淳)だったからもしれませんが、大事なパーソンなのに、あまり魅力を感じませんでした。
類子、正巳、阿佐緒の三角関係で進み、妻子持ちの男性との不倫関係があって、と内容(あらすじ)だけを読むと、ドロリとした人間関係がありそうなのに、全体的に淡泊であっさりしています。
余談ですが、原作者の小池真理子さんは、小学生の時に『チャタレイ夫人の恋人』を読んでいたらしくビックリ! 父親にまだ早いと叱られたそうです。早熟だったんですね。
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